前回の記事「座布団を編んでみた」で端切れの活用についてちょろっと書いたのですが、
NHKで放送されているイギリスの裁縫バトル番組「ソーイングビー」でも、
今回のお題が「端切れの再活用」でした。
ちょっとタイムリーで嬉しい。
「ソーイングビー」は、ごく最近ツイッターを通して知った番組です。
今NHKで放送されているのは第3シーズンのようですが、
こんなおもしろいなら第1シーズンから全部見たかった!
ぜひ再放送してほしい。
一般の裁縫好きな方々が、コンテストで様々な課題に挑戦して勝者を決める、
みたいな方式のようです。(まだ4回くらいしか見てないので詳しくはわからない。)
結構とんでもないお題が出ていて、みんなで四苦八苦というか和気あいあいというか、
バトルはバトルなんだけど、なんかいい雰囲気。
あと、ゴットタレントシリーズに通じるところがあるのですが、
審査員がきっちりと審査して、
良いところをしっかりほめ、至らないところは的確に指摘する、
というのが徹底されています。
見ていて、審査結果にすごく納得がいき、番組としての安定感を感じます。
ゴットタレントシリーズにしろ、ソーイングビーにしろ、
こういう「一般人」の芸術性や創造性に脚光を当てる番組ってすごくいいなと思います。
今日本でこの手の番組って少ないように思いますが、
すごい古い話だと「ダンス甲子園」とか結構盛り上がったんですよね。
あの番組もともとはナントカブラザーズ(忘れた)というグループのデビューをお膳立てするためのものだったと聞きましたが、
そんな思惑すっ飛ばして、一般人超盛り上がっていたと記憶しています
(私がもっと器用なタイプだったら出たいなぁと思っていた(笑))。
結局ナントカブラザーズではなく山本太郎さんが残った、みたいなことになりましたが。
あと「欽ちゃんの仮装大賞」とかも、一般人の創造性とかユーモアとか爆発していて、
すごく楽しい番組でした。
「のど自慢」はちょっと方向性が違うかなと思いますが。
今の日本のテレビ番組に出ている「タレント」とか「お笑い芸人」とか、
これっぽっちもおもしろくないし、感動もしないし、勉強にもならないので、
その手のバラエティー番組とか、もうやめてほしいです。
かわりに日本でも、ゴットタレントシリーズとか、ソーイングビーとか、
そういうのやってほしい。
いろんな才能のある人、世の中にいっぱいいるんだから。
私がソーイングビーを知ったのも、ツイッターで、
「ソーイングビーを見ていた父親(70代?)が触発されてシャツを縫った」みたいな感じで、すごくきれいなドレスシャツ(いわゆるワイシャツ)の写真が流れてきたからでした。
人って、ほかの人の才能や頑張りに触発されるんですよね。
そういう「〇〇なんかやったことない」みたいな人が、60代70代になっても、
「なんか楽しそう」「おもしろそう」「やってみようかな」ってなるの、
すごく素敵なことだと思います。
「70代の男性に『自分も裁縫やってみようかな』と思わせる番組ってどんなもの?」と
興味がわいて早速見てみたら、本当におもしろかった(笑)
で、本題ずれまくっていましたね(笑)いつものことですが(笑)
その「ソーイングビー」でも、今回のお題が「端切れを使って洋服を作る」でした。
もっともその前にも、「捨てられたテントの生地を使って犬のレインコートを作る」というお題もありました。
今、そしてこれからの世の中で、
しっかり取り組んでいかなければならない問題であると同時に、
眉間にしわを寄せて義務的にやるのではなく、
創造性や芸術性、ユーモアを発揮して楽しく美しく、
たくさんの人が「これならやってみたい」と思えるようなやり方を作り出していく、
というのはとても大切なことだと思います。
端切れを使ったお題、二つあって、
①「数着分の古着をほどいて、既定の型紙に合わせて作る」というものと、
②「今回のコンテストの課題作成のためにこれまでに出た端切れを使って自由に作る」というものがありました。
(さらに今週は古いカーテンを使ってワンピースを作っていました。ジュリエットのレースカーテン使ったワンピースがすっごく素敵!!!私はジュリエット激推しです(笑))
①ももちろん大切なのですが、私は②がとても興味深かったです。
審査員も話していましたが、ホームソーイングでは布地の30%が端切れとして捨てられる、と。そういったロスに取り組んでいくためのお題とのことです。
私が前回の記事で書いていたのも、この点です。
ホームソーイングに限ったことではありませんが。
私が自分で編み物をしていく中で、半端糸や中古糸っていうのが、結構出る。
で、編み物学校のクラスメイトと話していても、微妙な量の毛糸が大量にある。
セーター着分とか、高級糸とかは、ネットの中古サイトで売りやすいのですが、
それに満たないような半端糸や、編んだものをほどいたような糸。
学校に通い始めた当時、私はゆくゆくはニットカフェみたいなものをやって、
そういう半端糸とか中古糸を店内に集めて、みんなで使える仕組みを作りたいなぁ、と
考えていました。
編みこみ模様に使ったりとか、家用靴下編んだりとか、小物作ったりとか、
半端品は半端品で使い道はあるので。
この毛糸の半端品を使って素敵なことをしているのが、
岩切恵美先生の『ちょっとかぎ針編み』(雄鶏社、2005.9)という本。
残念ながら絶版のようですが、作家さんならではの「家に半端糸山ほどあるんだろうなぁ~」と思わせる、いろんな毛糸をちょこちょこ使った素敵なグッズがたくさん。
(あと意外と必要になるのが棒針の編み始めに必要な、別鎖の作り目用の糸。新品を使うのがもったいないので、処分直前の糸が最適だが、本体と同系統の色が必要。本体と同じ糸だとやりにくい(笑))
さらに前回の記事では、裁縫でもそれに当たるものあるよね~と思い至ったわけです。
ちなみに食品では「フードサルベージ」という団体がやっている「サルベージパーティ(サルパ)」というおもしろいイベントがあります。(コロナ禍で今はやっていないかも)
自分の家にある賞味期限が切れそうな食材を持ち寄って、それを使ってみんなで料理してみんなで食べよう!というもの。
なんでも工夫次第で楽しく素敵にできるものだなぁと思います。
で、これ、一つポイントがあって。
サルパでもそうだし、ソーイングビーの今回のお題でもそうなんですが、
「自分が持っているもの」だけでなんかしようとすると「材料として足りない」んです。
「みんなが持っている不用品をミックスして選べる場」が必要。
私がニットカフェ的なところに半端品を集めて自由に使えるようにしたい、と考えたのもそれが理由です。
で、話としてもう少し大きくしちゃうと、
(私個人ができるできないは置いておいて、)
なんかネットでいろんな不用品や廃棄物の情報を共有して、
みんなで使える仕組みを作れないかなぁと思っています。
「ポツンと一軒家」という番組で以前見たのですが、
山奥の一軒家でほぼ自給自足をしているご家族が、
お子さんの学校通いに必要な現金収入を得るために、
鶏を飼って卵を販売している、というものがありました。
そのエサがすごい。
場所が四国だかなんだかうどん屋さんがたくさんあるそうで、
そのうどん屋さんが出汁を取ったあとの鰹節(普通にゴミ袋にいれて廃棄するやつ)、
米ぬか、養殖ホタテの貝殻、ほかにもなんかあったかもしれませんが、
そういった「廃棄物」にあたるものを集めて、調合してエサにしている。
この作業やっているのがなかなかイケメンのお父さんなんですが、
「全部ネットで調べた」とか言って、特に企業秘密にもせず、
テレビの取材に対して材料や作り方を淡々と説明してくれていました。
「今ってそういう時代なんだなぁ」と感動しました。
で、このお父さんが卵を街へ売りに行き、その帰りにうどん屋さんで鰹節のダシガラをもらってくる、みたいな合理的運営。
うどん屋さんだって廃棄物減れば助かるし。
卵を売る先も、保育園とかこだわりのイタリアンレストランとか、
安全性と美味しさを重視するところばかり。
山奥の一軒家で敷地に困らないので、鶏舎も、風通しが良く日の光も入る平飼い。
なんか、健康とか、エコロジーとか、人間と家畜の倫理的な在り方とか、
総コンプリートで感動しました。
海外から穀物飼料を仕入れなくても、国内の廃棄物混ぜ合わせてエサになっちゃうんですよ。
さらには混ぜ合わせるのに、コンクリートミキサーの中古品使っていました(笑)
(エサにするには少し寝かせて発酵させる過程が必要なようです。)
なんか、こういう知恵を集めたサイトを作れないかなぁと思うのです。
で、それぞれのところで「こういう廃棄物か出るよ~」みたいなデータベースがあって、
必要な人が取引できる、みたいなもの。
自分のところで出る「廃棄物」が、何の役に立つかはわからないと思うんですよ。
でも、「こういうものがあれば、こういうことができるのに」と思っている人もいる。
だから、とりあえず「うちではこういう廃棄物が出ます・あります」というデータが集まる場所を用意する。
そして「ポツンと一軒家」の鶏のエサのように、ネットで調べたら作り方載ってた、みたいな知恵の集積があれば、その知恵を使って何かできる人が増える。
以前、Brut Japan のツイッター動画でも、おもしろい例がありました。
フランスでは寿司ブームによって鮭の皮が大量に廃棄されるようになったそうですが、
その鮭の皮を薬品処理して、ワニ革や蛇革など爬虫類の皮の代用品として使う取り組みをしている企業があるとのこと。
この技術自体は、北欧にもともとあったものだそうで(確か)、
この技術を用いることで、革製品のために爬虫類を殺すことを減らし、廃棄物も減らすことができるという一石二鳥の取り組み。
頭の良い人というのは、こういうことを考えて実行する人だなぁといたく感動しました。
(一方で、「鮭は皮が一番美味しいのに~!!!」という、日本人による悲鳴みたいなコメントがたくさんついていたのが最高におかしかった。戦国武将がどれほど鮭の皮を愛好したかとか、そんなことするくらいならその皮を日本に輸出してくれとか、すごいことになっていた(笑))
ちなみにこの魚の皮を加工して衣類に用いる技術の伝統は、アイヌ民族も持っているとのことです。
また日本国内でも、魚の皮を加工して財布とか皮革小物を作っている企業もあるそうです。
あと、「鉄腕ダッシュ」の「ゼロ円食堂」で、廃棄される食材集めて回っていましたが、
あれも「え、こんなに捨ててたの?」とショックを受けました。
規格外の野菜とか、魚の大きな切り身が取れないしっぽの方とか、賞味期限切れが近づいた食品とか、「いやそれ全然食べられるし!!!」みたいなの。
そこの流通経路だと売り物にならないという類のもの。
魚のしっぽの方とか、切り身として売れないだけで、身をこそげ落としてふりかけとか作れるよ~!!!と思ったけど、そこの加工場や流通経路では扱えない、というもの。
あと、私が料理学校通っていた時に、
「フュメ・ド・ポワソン」という魚の洋風出汁も習いましたが、
こういう魚介の加工場から出る魚のアラでフュメドポワソン作って冷凍販売とか、
フュメドポワソン使った美味しい料理の作り方講座とか、やりたいなぁと思ったりします。
同じく鶏ガラや牛や豚のガラ使った洋風出汁も、玉葱や人参などの野菜と長時間煮込んで作りますが、その野菜類も、スーパーで売っているような丸々と太った美しい野菜使うのは
もったいなすぎるのね。私が貧乏だからかもしれないけど。
もう本当に規格外のクズ野菜が最適なんですよ。大きさなんかどうだっていいし、傷んだところだけ取り除けばいいんだから。
で、こういったことって、私一人で全部やろうとしてもできない(笑)
だから、どこで何の廃棄物が出るというリアルデータと、こういう使い方ができるという知恵の集積を作って、できる人、やりたい人が、それぞれアクセスして使えるようにしたい。
移動や配送が大変な遠方のものは使えないけど、近場のものだったら車で取に行ける、とか、その人それぞれの事情に合わせて使ってもらえるような仕組み。
ネットの中古サイトなんかは、一部そういう役割果たしている部分もありますが、
さすがに「鰹節のダシガラ」とかは出品されていないと思うし。
おもしろいのはメルカリで「トイレットペーパーの芯」が、「工作の材料用」としてたくさん出品されていること。
たまたまトイレットペーパーの芯が何かで脚光を浴びたんだろうなぁと思ったけど、
ほかのいろいろなものについても、いろんな使い道があるのだろうと思います。
私はコロナ禍以前は、洗面台やお風呂場周りの髪の毛を捨てる時に、何も考えずにティッシュペーパーにくるんで捨てていました(私の髪は剛毛のくせ毛なので、そのまま捨てるとゴミ箱周りが大変なことになります(笑))。
が、コロナ禍でトイレットペーパーなど紙類が店頭から消えた時(オイルショック時からの日本の悪しき伝統が海外にまで輸出されてしまいました)、「貴重なティッシュがもったいない」というのに加えて「あれ、私今まですごく無駄なことしていた?」と気が付きました。
それ以降、「包んで捨てる」目的の時は、新聞チラシを適当なサイズに切ってストックしておいて使うようになりました。爪を切った時とかもそういう風にしています。
あと、梱包用のクッション材も、本来は古新聞が最適なんだけどなぁと常々思います。
通販の配送も、プチプチか無地の紙をくしゃっと丸めたものとか使っているし、
BOOKOFFとかホームセンターとかで食器などの梱包用にも新品のクッション紙が用意されていて、まぁきれいだけど、エコではないよな、と思います。
私のネットショップでももう少し売れるようになってきたら、「エコロジー包装」みたいなオプションを選べるようにして、クッション材を新聞紙にするとか、再利用段ボールを使うとか選べるようにしようと思ったりしています(私の作る商品はイメージ重視の高額商品でもあるので、そういうのを嫌がる方もいるかなぁと思ったりしているのですが)。
逆に、通販で梱包材に使われていた無地の紙をきれいにしてとっておいて、裁縫用の型紙とかに使ったりしています(笑)
サザエさんの漫画では、サザエさんは新聞紙で型紙作ったりしています。
裁縫作家さんはともかく、ホームソーイングでは再利用品でいいんじゃね?と思ったりします。
ただ、こういう新聞チラシだの古新聞だの、梱包材の紙とか、
あるところにはあるけど、ないところにはない。
私も一人暮らしの時は新聞取っていませんでした。
「いらない人」と「使いたい人」の間をうまくつなげられたら、
私たちの社会はもう少し生きやすくて、もう少し優しい社会になるんじゃないかなと思っています。