悲しいこと、苦しいことが、世の中から伝わってくるたびに、
怒りを持って文章を書こうとして、
こんな書き方しちゃいけないな、と立ち止まる。
少し待つと、実際、良いニュースも聞こえてくる。
星野源さんが、性加害を受けた人たちが、そのことを思い出して再び苦しむことがないように、と紅白で歌う曲を変えたりとか。
その際に、あらゆる性加害行為を容認しないとはっきり表明してくれたこととか。
そもそも、この曲を今歌うのは、苦しんでいる人をさらに苦しめる可能性があるからやめた方が良いと、X上で星野源さんに訴えたのが男性の音楽関係者であったこと、とか。
そう、決して決して、冷酷な人だけしかいない世界では、ない。
それがちゃんと見える。
今年の1月1日に、能登が震災の被害にあってから、そのまま1年が終わってしまった。
石川県の馳浩知事は、国会議員だった時に、
行き場のない少女を保護するための活動をしていた仁藤夢乃さんの訴えに、
見学と称して大勢で押しかけた挙句、少女に性的な接触をし、
国会を追放された人物。
仁藤さんは、家庭が安全ではないために街に逃げ出して居場所を探している少女を、
性搾取から守るために避難場所を作っていた。
大人を信用せず、特に男性を怖がる可能性があるから、
見学には少人数で来てほしいと仁藤さんが訴えていたにも関わらず、
馳浩は、大勢で押しかけ、少女の尻に触り、
それを仁藤さんにとがめられると、
後日、居丈高な態度で仁藤さんに謝らせようとした、本物のクズ。
それを国会で取り上げられて、追放された。
なぜ、そんなのを知事に選んだんだよ、と思った。
そして、震源の珠洲市は、住民が反対して原発を建設させなかった場所。
私たちへの、最後の通告だよね、と今年しょっぱなに思った。
なんというか、話がそろいすぎている。
それにも関わらず、何もできないまま、この年を終えることになってしまった。
もうずっと、そんなことが長く続いている。
いや、それでも、先日の選挙では、自民党の議席をかなり減らすことになったし、
アメリカでも、ジェノサイドの実行者である民主党が敗れたわけだけど。
書きたいことはいろいろあって、書きかけてやめた記事がたくさんある。
文章を書くのが辛くなって。
あんまり辛いので、ふと、マザー・テレサの言葉をネットで検索した。
『私は、不親切で冷淡でありながら奇跡を行うよりは、むしろ親切と慈しみのうちに間違うほうを選びたいと思います。』という言葉。
性加害を無罪とした裁判に、大勢の人が反対を表明した時に、
『司法の独立』を掲げて嘲笑った人がいた。
今起こっていることこそが魔女裁判である(性加害を受けた女性が自分が善であることを証明するためには、男に全力で反抗し必ず殺されなければならない。全力で反抗した結果、男を殺して自分が生き残れば、過剰防衛で罰され、女が反抗したものの生き残った場合は、反抗は全力ではないとみなされ性的同意があったとされる)ということがわからず、あるいはわかった上で、『司法の独立』をもって、血の涙を流している人間を嘲笑うなら、
それは『司法の独立』が侵されるのと同等の社会的崩壊だろうよ、と思った。
マザーの言葉の数々を読んでいたら、
どうにも苦しくて動かなくなっていた心が楽になってきた。
先日、新宿の紀伊国屋書店にマザー・テレサの言葉の本を買いに行ったら、
近くに、北村紗衣先生の『女の子が死にたくなる前に見ておくべきサバイバルのためのガールズ洋画100選』があった。
もうこれは、タイトルがすべてを説明しているけど、
北村紗衣先生がネット上でミソジニーこじらせた男性たちからさんざんな目にあっているのを見ていたので、
こうやって、みんな全力で、なんとか死なないようにがんばって生きているんだよなって思ったし、今度この本も買って、自分に必要なおすすめ映画も見てみようと思った。
そしてすぐ近くに、タイトルは忘れたが、編み物で社会を編みなおす的な本もあった。
このブログ、日本だと「編み物ブログなのに何やってんの」的なピント外れな存在だけど、
欧米のフェミニズム・オルタナティブな政治史からすると、そう的外れでもないっていうか、むしろ定番(笑)。
北村紗衣先生の本と合わせて、年明けに買いに行こう。
私が世の中に対してあんまり無力感に苛まれ、疲れ切っていたので、
神様がちょっと励ましてくれたのかもしれない、と思った。
マザー・テレサの言葉を読んで、
今のこの世界の人たちが本当は思い出さなきゃいけないことを、
たくさん見出した。
ここ2年ほど、スペイン語を勉強していて、
ふと、次のステップとして『アミ小さな宇宙人』を原著で読んでみようかな、と思った。
そうしたら、アミ原著は2023年版が出版されたばかりで、
めちゃくちゃ手に入りやすくなっていた。
アミの本が訴えていることも、今できるだけたくさんの人に思い出してほしいこと。
そして、私の心が望んでいること。
虐殺、性暴力、強欲、貧困、病気…
奪い合いの世界に、心が疲弊してしまったとき、
本来の自分の心の在り方を思い出して、
自分を立て直しましょう。
また、がんばりましょう。
平和な世界をつくるために。