2025年8月11日月曜日

食の話をいくつか ⑤アンチョビとテリーヌ

先日仕込んだアンチョビ、第一弾を食べてみました。

日本ではカタクチイワシほとんど煮干しになってしまっていて
一般にはあまり流通していないので、
マイワシを使ったんですが、デカいんですよ、一切れが。
で、塩漬けにして身が固く締まっているもので、
手抜きして、フライパンの上で木べらで崩したれと思ったら、
木べらなんかじゃ崩れません(笑)。
なので、大きいマイワシで漬ける場合は、
塩漬けの前か油漬けの前に、小さく切り分け、
かつ、調理の際はちゃんと包丁でたたく、
をした方がいいなと思いました。
大きい一切れまんま使ったらしょっぱかった~(笑)

このアンチョビ第一弾、スーパーで一尾80円くらい。
第二弾は別のスーパーで一尾60円くらいだったかな。
それぞれ十何尾か仕込みました。
いや、高くはないんですけど、
「豊漁」というほどには安くないんじゃね???
私、ガセネタつかまされた?とか思ったりもしたんですが、
先日、すごいの見つけちゃいました。
ちょっといろいろ安くて量の多いスーパーで、
ちっさいマイワシ50尾199円也が、
古くなって半額99円(税別)。

いや、もう2回漬けてるし、一人でこんなに仕込むの辛いし、
食べきれないとアレだし、とか悩んだんですけど、
その半額になったイワシ、何パックも残っているのに、
一般家庭の皆様ことごとく素通りしていて(そりゃそうだろ)、
え、これ、明日になったらどうなっちゃうの?廃棄?廃棄?と
心が落ち着かなくなり、
ほんの気持ちばかり、1パックだけ買って漬けてみた。

でもほんと、結構な作業量よ。
ちなみに第一弾と第二弾は開きになっているの買ったんで、
実際の作業は皮はぐぐらいだったんですが、
このちっちゃい50尾は尾頭付きなんで手開きから。
この手の作業って生ごみ出せる日しかできないし(笑)
その日ニトリル手袋も安いの手に入ったんで、
安心して作業しましたが。


で、第一弾油漬けにした時に容器として使ったのが、
アルノーのテリーヌの空きビン。
このアルノーのテリーヌ、今年に入ってから知ったのですが、
中身もビンもめちゃくちゃ優秀。

今手元にある『豚肉・アヒル肉・鶏レバーのテリーヌ』、
原材料「豚ほほ肉、アヒル肉、鶏レバー、牛乳、卵、
食塩、ブランデー、香辛料」以上、ですよ。
すごくないですか。
合成保存料とか化学調味料とか何も書いてないんですよ。

で、『加熱食肉製品(包装後加熱)』と書いてある。
つまり、生のハンバーグみたいなのをビンに入れてフタをして、
その後加熱している。
というかもともとビン詰って、
食品を長期保存して運搬するために開発されたもので、
ビン詰後に加熱するのが本来の作り方のようなのですが。
その結果、今年の1月に買ったこのテリーヌ、
賞味期限が2029年1月。
すごくないですか、いつ作ったのかはわかりませんが、
少なくとも買ったときから4年は持つって。
しかも常温保存。

こんなすごい食品があるんだなと思ってびっくりしました。

単に、店で3個1000円くらいの売り方をしていて、
そういや私レバーって苦手で美味しい食べ方できなかったな~と思い、
ちょっとした興味で買ってみたんです。

貧血になりやすい女性は鉄分を補うためにレバーを食べると良い、とか
滋養強壮に良い、と昔から言われていたので、
虚弱体質だった私は何度か食べようとはしたんですけど、
基本的にレバーって女性の味覚に合ってない気がする。
胃腸が弱いタイプの女性、レバー苦手でしょ。
ニラレバ炒めとか、滋養強壮に良い食材の組み合わせ・調理法ですが、
これって体が強い人しか食べられない料理だと思う。
うっとうしいぐらい(失礼)体強い男性しか食べられない。
体力つけるべき虚弱体質の女性が食べられなくて、
職場で無駄にうるさかったり暑苦しかったりするタイプの男性が
好んで食べるとか、ほんと矛盾してるなと思っていましたが。
まぁ本来は、農作業とか建築作業とか、体力を要する仕事をしていくための
滋養強壮に優れた料理として存在したんだろうと思います。

で、このアルノーのテリーヌはレバー臭くなくて、
女性にも食べやすい味だと思います
(豚レバーのものだけ私は口に合いませんでした)。
クラッカーやパンに乗せて、おしゃれな軽食の雰囲気。
ハーブ飾って、岩塩とかペッパーとかで味整えたら、
友達来た時のお酒のつまみにもいけそう。
ネットでは、フランスパンにアルノーのテリーヌ、コルニッション、マーマレードを
合わせると美味しいと言っている方もいました。

疲れて何にも作りたくないけど、ちょっと動物性たんぱく質補給したいなぁ
みたいなときにあるといいなと思ったし、
常温で長期保存できて
開けたらそのまま食べられる動物性たんぱく質とか
非常食に最適じゃん、と思って、早速買い足してストックしました。

で、このビン、加熱できるビンなので、
空きビンも使い道たくさん。
内容量180㏄でいろいろ使い勝手がいい。しかもフタ付き。
ふつーに小分け容器として冷蔵庫で活躍、以外にも、
まだ試してないけど、オーブンでも大丈夫なら、
これでプリン焼いてフタして冷蔵庫で冷やして、
なんならそのまま外に持っていけるんじゃないか、とか。
私この夏から、ガムシロップも手作りするようになったのですが
(単に鍋に水と砂糖を入れて加熱して砂糖を溶かしただけなんよアレ)、
そんな風に、熱いものをそのまま入れて冷ましてフタして保存、に最適。
前述のブランマンジェとか、ゼリーとかにも良いかと。
型として使って外す場合は使いやすいかわかりませんが。

で、ガラスが割れたり、金属製のフタが傷んだりしたら、
どうせ再利用品だし、と廃棄するにも心が痛まない。

まぁ唯一文句つけるとしたら、
海外の製品ってラベルがはがれないんですよ。
可愛いビンとか缶とか大好きで、
海外のものとかも可愛いの買い集めちゃうんですが、
海外のものはラベルシールがきれいにはがれない。
これだけ何とかしてほしい。
日本のものは、特に最近、缶収集女子向けに、
ラベルシールぺろ~んときれいにはがせるもの多いんですが。
あとちょっと地厚でデカいかな。


なんかねぇ、日本でもこういう製品作ったらいいのになぁと思ったんですよ。
豚のほほ肉は高級部位なんだそうですが(いままでご縁がなかった)、
高価な部位を使うかどうかはともかくとして、
ひき肉状態で調理するものなので、ブロック肉として扱えない肉を集めて、
美味しい味付けにして、無添加のビン詰にする。
で、長期保存食としてストックする。

いや、これまで食についての記事ダラダラ書いてきて、
「金持ちにならないとできないことって何?」
「いつになったら本題出てくるの?」
とお思いかと思いますが。

本来だったら、こういう安全な保存食を作ってストックするのって、
国や地方自治体の仕事だと思うんですが、
日本の政治、壊滅状態なんで。

また別の記事としても書きますが、
日本では調理の仕事って見下されていて、
女性の非正規雇用者や学生バイトがほぼ最低賃金でやっている。
正社員の調理師も「勉強ができない奴が調理師学校に行く」と言われる
社会環境の中でやってきている。
私はそういう環境に「おばさんパート」として入って、
なんか本当に全部致命的に間違っているな、と思った。
おまけに支配人がとんでもないクズで、パワハラ・モラハラにあったんで、
労働基準監督署通して訴訟起こそうとして、
直前でやめ、他の会社に移りました。
ネガティブな戦いをすると私が心を病んでしまうので(これは私の個人的性質)。

まぁ私が被った諸々は今は置いておいて、
食の仕事って、生命の根本でしょ。
農業しかり、調理しかり。
それが見下されてるっておかしいじゃん。
何食べて生きてくの?みんな。

農業・漁業・畜産業の第一次産業が最重要なのはもちろんだけど、
調理は芸術でもあるわけでしょ。
それが「最低賃金のおばさんパートの仕事だ」とか、
「調理師なんて勉強ができない奴がなるもんだ」とか、
根本から間違ってる。
別の記事で書きますが、
食とかケアとか、本当に価値があって生きるのに必要なものを
「価値がない」と言うことで安く、できればタダで奪い取ろうとしているんです。
奴隷がほしいんですよ。
だから、本当に価値があるものを「価値がない」と言い、
本質的に価値がないものを「価値がある」と言う。
竹中平蔵なんか何の価値もないのに、政治に口出して自分の懐に金流し込んで、
まるですごい人であるかのように世の中も本人も思い込んでる。
以前、X(ツイッター)で、
「(学校で)給食しか作ってないおばさんに年収〇百万なんて贅沢だ~」とかいう
男性のポスト見ちゃったんだけど(たぶん引きこもりで一回も働いたことない人)、
社会の未来そのものである子供たちの健康と情操、日々の喜びを担う学校給食なんて、
一番誇りを持てる仕事でなきゃおかしいでしょ。
何言ってんのって話ですよ。

なので、私が大金持ちになってやりたいと思っていたことは、
ずっとおばさんパートとして、社会的底辺扱いされて働いてきた女性に、
年収1,000万円、2,000万円のまともな給与を支払い、調理の仕事をする組織を作る。
あと氷河期世代として男女問わず非正規雇用で苦しみながら働いてきた私の世代も。
私は私自身がこれから先、生きていけるかどうかもわからない身の上なので、
心あるお金持ちの方、そういうお金の使い方もあるなぁ、とご一考いただければ(笑)

それで、冒頭のイワシのように廃棄される可能性のある食材を買い取って、
保存食を作り、国や自治体としてストックする。
アルノーのテリーヌのように、添加物を使わずに安全に保存できる調理法、
レバーのようにクセのあるものも誰でも美味しく食べられる調理法を研究する。
農作物・魚介・畜産物、どんな食品が突然余っても対応できるように、
いろいろな調理法、保存方法を研究しておく。
農産物でも豊作による値崩れを防ぐために出荷せずに畑に漉き込む、
みたいなことを、毎年何かしらかの食材でやっているんですよ。
そういうものを市場価格で買い取って保存食にする。
フリーズドライがいいのか冷凍がいいのか漬物がいいのか、瓶詰・缶詰がいいのか、
いろいろなパターンに対応できるようにする。
そういう組織を作りたい。
本来は国がやるべきだけど。

そういったあらゆる食材の保存食があれば、
災害の多い日本、安全で栄養価の高い食品をすぐに被災地に届けられるし、
生活に困っている家庭に届けることもできるし、
海外で何かあった時に、支援品として送ることもできる。
天候や社会情勢によって、野菜が足りない時には野菜の保存食を、
たんぱく源が足りない時にはたんぱく源の保存食を、
国として放出することができる。

まぁ、国がやらないので、
お金持ちの篤志家としてやりたいなぁと妄想していたわけですが。
妄想・構想の細部について、また折を見て書いていきます。
それはいい考えだから自分がやろうと思ってくれたり、
おもしろいから私と一緒にやりたいと思ってくれる人がいたら、嬉しいから。