2020年6月11日木曜日

大きなタートルネックのラグランスリーブセーター②

前回の続きです。
今回は色のお話。


学校の課題でこの作品を作ったのですが、
糸がその年の限定カラーで、廃番になってしまう色だったので、
少し多めに買い足しました。

で、このグラデーション糸、
複雑な模様を編まなくても素敵なニュアンスが生まれるスグレモノなのですが、
毛糸玉をつなぐ時が最悪です。
せっかくのグラデーションのニュアンスがぶち壊しにならないように、
できるだけ同じ色合いのところでつなごうとすると、
近い色が出てくるまで糸を引っ張り出したりするわけです。

そんなわけで、大量に半端な長さの切れ糸が発生します。

今回のこの糸、ほんとにお高い糸なので、
勿体ないやらなんとやらで、
半端糸つなげて、ベレー帽を編みました。


糸の有効活用が目的で、色合わせそんなにこだわらなかったので、
色の変化不自然なところがあります。

デザインは、リッチモアの販促チラシ(?)に載っていたレシピ。
「アルパカレジェーロのベレー帽」です。
糸は「アルパカレジェーロ(毛糸の商品名)」ではなく
「カウニス(毛糸の商品名)」ですが。

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で、こんなめんどくさいところもあるグラデーション糸ですが、
前の担任の先生から、面白い話を聞きました。

カラーグラデーションを作るには、
グラデーション糸を使う以外にも、
細い糸を何本か引きそろえて、少しずつ色を変えていくという方法があります。
最初は細い青い糸4本で編み始めて、途中から1本を白に変え、
次に2本を白にして…という風に、調整していきます。
この方法だと、前身頃と後ろ身頃、袖など、
色が出るタイミングを自分で決められる利点があります。
(私はこの技法をまだ使ったことがありません。)

で、この編み物学校は海外でも人気の先生がいらして、
その授業の時には海外から飛行機でいらっしゃるという
熱烈なお金持ちの生徒さんがいたそうです。

その卒業制作展を、私の担任の先生が見に行った時に、
あるグラデーションカラーの作品で、
前身頃と後ろ身頃の色合いがぴったり合っているものがあったので、
その先生に、前述の引きそろえ技法で色を調整したのかと聞いたそうです。

そしたら、その作品は海外から来ているお金持ちの生徒さんの作品で、
なんと、自分のゲージに合わせて、前身頃・後ろ身頃・袖など、
色がぴったりに出るように、職人さんに糸を染めさせたのだそうです。

金持ちすげぇ~と思いました。
その発想、私に無いわ。

前身頃と後ろ身頃って形が違うので、
同じグラデーション糸で、同じ色のところからスタートしても、
色が合わなくなるんですわ。

まぁしかし、こういうお金持ちとか絶対権力者というのは、
社会的に問題がないわけではないのだけど、
技術の進歩とかの部分で、大きな役割を果たすことがあるなぁというのは、
思わざるを得ないことです。

以前、ジャニーズの舞台装置の技術がすごいという話を聞いたことがあるのですが、
それはジャニー喜多川さんが「やって」と言えば、
誰も「No」と言うことができず、
どんなに難しい技術でも実現せざるを得ないからだ、ということでした。

ま、お金持ち云々を抜きにしても、
グラデーション糸、
同じところからスタートする毛糸玉作ってほしいなぁ。