2025年6月19日木曜日

食の話をいくつか ④味噌の諸々2

味噌記事続きです。
友人に教えてもらった味噌づくりで、
味噌以外にも収穫があったので、そのことを。

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味噌を仕込んで寝かせるとき、
カビを予防するために、
味噌の表面に塩を振って
さらに酒粕でフタをするというのが
友人のおすすめでした。
(その上にラップだなんだありますけど)

そうやって仕込むと、
味噌が出来上がるのと同時に
味噌風味の酒粕もできるわけです。

友人はその副産物を味噌汁に入れると美味しいと
言っていましたが、
私は酒粕の入った味噌汁苦手。
それで、魚をつけるのに使ってみました。

サバとかブリとか、
ちょっとくどいんだよね、と思う魚を、
この味噌・酒粕塗りたくって冷蔵庫で寝かせる。
で、軽く洗い流して水気をとって焼く。

も、ごくごく伝統的な日本の美味しさです。
くどさや臭みがとれて食べやすい。
はじめて焼いたときは、
弁当用に一切れ、味見がてら朝食用に一切れ焼いたのですが、
さっぱりして食べやすいもので、
朝から二切れ食べてしまいました。

さらに、スーパーで古くなったアジが安く出ていた時に、
「こういうのも漬けとくといいんじゃね?」と思って
試しに買って漬けてみたのですが、
それも美味しかったです。

アジみたいなさっぱりした魚は、
新鮮な状態で刺身やマリネ、あとは塩焼きが最高ですが、
生食期間を過ぎたものが
「フライに最適」と書かれて売られていて、
さらにそれが古くなって2割引シールついたものに
遭遇してしまいました(笑)

あえて古いもの食えと言いたいわけでもないんですけど、
フードロス的な観点と、経済的な観点と、
「こういうのもうまく美味しく食べられたらいいよね」と思って。

ちなみにこの赤札ついたアジ、
味噌・酒粕に漬けて、
冷蔵庫でさらに数日寝かせましたが問題ありませんでした。

普通の状態だと古くなって廃棄せざるを得ないものを、
この手の調味料に漬けることで延命させることもできるみたいです。

コロナ以降、日本の政治経済の破綻も含め、
いつでも新鮮なものが豊富にお店に並んでいるとは限らない、
ということを痛感するようになりました。
今はあっても、来週どうなってるかわからない、とか。
刺身で食べられるような鮮度でないものでも、
美味しく安全に食べる術を、
少し知っておいた方がいいかもと思うようになりました。

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それから、友人は圧力鍋で大豆を煮ていたのですが、
その威力に驚きました。

味噌作るときの大豆って、
2日間くらい水に浸した後、数時間ゆでるんです。
ゆでている間ほったらかしにしていいかっつーとそんなことはなく、
差し水したり、灰汁とったり、面倒見てあげないといけない。
江上で習ったときは、この工程聞いただけで
「無理でしょ、これ」と思ったものですが、
圧力鍋使うとこれが10分、15分でできてしまう。
(2日間浸水は変わりませんが。)
すごいわ、圧力鍋。知らんかった。

私はずっと玄米も炊ける炊飯器使っていたので、
あんまり圧力鍋の必要性を感じていなかったけど、
これはすごいわ。

彼女とご一緒していたエコロジーカフェのキッチンでは、
豆だの雑穀だのたくさん使っていて、
玄米以外でも圧力鍋大活躍でした。

今って「サラダビーンズ」とか言って
蒸し豆・湯で豆の類、どこのスーパーでも売っているんで、
豆類はそういうもの使っていたんですが、
乾物のままの方がストックはしやすいんだよなぁと
ふと思いました。

前述のとおり、コロナごろから
保存のきく食材、少しストックするようにはしていたのですが、
昨今の日本の壊れ具合を見るに、
もうちょっと本腰入れて自衛しようかなと思わなくもない。
私はずっと経済的弱者なんですが妙に勘が働くところがあって、
米とかも今みたいな事態になる前から
少しストックしていました。

そこへいくと、
乾物としての豆って保存がしやすい。
冷蔵庫に入れずに、袋ごとガサッと常温においておける。
数種類の豆を持っていれば、
それぞれ特徴のある栄養素を確保できる。

長いこと入手困難な「ぬちまーす」とかもそうなんだけど、
健康を保つのに、微量栄養素が結構重要な役割を
果たしているんじゃないかと思うんですよ。
精神的なバランスにも影響あるんじゃないかと思ったりします。

物が流通しない、経済的に買えないって時に、
自分がパニック起こすのが一番しんどいでしょ。
豆とか雑穀とかで、その手の微量栄養素をいろいろ補給できたら、
パニック起こさず乗り越えられるんじゃないかと思ったりします。
味の好みはいろいろあるけど、
食べ物ない時、豆類とりあえず腹膨れるし。

何かが流通しなくなったという時に、
第一波をパニック起こさず乗り越えられれば、
その間にいろいろ調べたり対策立てたりできます。
でもパニックの波にのまれてしまうと、
一番混乱しているときに走り回って
エネルギーもお金も浪費してしまったりする。

まぁ私はうつ病に悩まされた人生を生きてきたので、
こういう考え方をするわけですが。

普段は乾物として楽に保管して、
食べるときは圧力鍋で短時間で調理する。
良くないですか、これ。

というわけで、友人におすすめの圧力鍋を教えてもらい、
今度買うことにしました。
圧力鍋、私が思っていたほど高くなかった。
ちょっと良いフライパンくらい。
必要を感じていなかったから食わず嫌いというか、
「どうせすんごい高いんでしょ」くらいに思って
調べようともしなかった(笑)

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話が危機管理とか非常時対策みたいな
流れになったのでついでなんですが、
水分補給と栄養補給に甘酒のストックをおすすめします。

「甘酒」として売られているもの2種類あって、
①米から日本酒作った時にでる搾りかす(酒粕)から作ったものと、
②米麹と米から作られるものがあります。

①の酒粕甘酒は、アルコールが含まれていて温めるとお酒の香りがします。
 その酒臭さが好みのわかれるところ。私はちょっと苦手(笑)
 (味噌のフタに使った酒粕も同じものです。)

②の麹甘酒は、アルコール分含みません。
 砂糖使っていないのに自然な甘さ。子供も病人も大丈夫。
 麹甘酒は「飲む点滴」といわれるほど栄養豊富で吸収されやすい。

私がストックおすすめするのは②の麹甘酒です。
非常時の水分補給と栄養補給に。
未開封だと数か月常温保存できます(夏のクソ暑い時は冷暗所に)。

特に今の日本の夏、尋常じゃない暑さなので、
冷蔵庫に1本冷やしておいて、
「あれ、熱中症かな?」と思ったときにまず飲むと良いです。
スポーツドリンク・経口補水液の類として。
(必要な医療処置は必ず受けてください。命に関わる暑さです。)

栄養価高いので、
体力落ちている時、食欲ない時、風邪の時とかの
栄養補給にも良いです。

ほっとする自然な甘さなので、
疲れている時にも心が落ち着きます。

マルコメの麹リッチタイプの甘酒と、
八海山のあまさけが美味しいです。
(八海山は高いんですが、ボトルがかわいい。
ボトル再利用したくて何度か買いました(笑))

あと、甘酒の効用についてネットで調べると、
「甘酒はこんなに効用があるので毎日飲みましょう」的な
文章が出てきて、
「飽きずに飲み続けるコツ」みたいなハウツーが続くのですが、
飽きたらやめてください

甘酒に限らず食品なんでもそうなんですが、
体に必要な栄養素が満たされて必要がなくなると「飽きます」。
それ、体が自然にやっている健康管理なんです。
「今体に必要なもの」は「美味しい」、
「もう必要じゃないもの」は「美味しくない」。

美味しいからもっと飲みたいときは、
体が必要としているので飲む。
もう飽きたから飲みたくないときは、
もう体にいらないのでやめる。
それを無理して飲み続けると、逆に害があります。
いままで大丈夫だった食品のアレルギーが出るのって、
こういう食べたくない・飲みたくないのに
頭の理屈で過剰に摂取を続けた場合に発生します。

日本人、「コツコツ続けることは良いことだ」と
刷り込まれすぎているので、
ネット記事でもなんでも「毎日続けましょう」と言えば
きれいにまとまったように感じてしまうのですが、
バカの口癖だと思って無視して、
自分の体を信頼してください。

2025年6月12日木曜日

食の話をいくつか ③味噌の諸々1

友人に味噌を仕込む人がいまして。
私ここ何年か調理の仕事をしていたのですが、
以前の職場の先輩です。
エコロジー界隈ではちょっと有名な店だったので、
何でも自分で作っちゃうような人たちが集まっていました。

昨年その方に誘われて、私も味噌を仕込みました。
すごくよい材料使っているからか、
ちょっとびっくりするくらい美味しくできました。
今年もお声がけいただいて、また仕込みました。

以前江上料理学院に通っていた時も、
単発で味噌の講座受けて1回仕込んだことあったのですが、
初めてだったので、なんかオタオタして終わった記憶があります。

ただその時も、この手の作業って、
「一人でやると作業量が多くてしんどい。
でも、ご近所さんや友達と集まっておしゃべりしながらやると楽しい。」
という類のものだなぁと感じました。

それで昨年、友達と集まってわいわい味噌仕込むの楽しそう!
と思って参加しました。


たぶん、本来は、生きるための作業って
全部そういうふうになっているんじゃないかと思います。

現代の個人の家庭で、「家事」としてやっていると、
孤独でしんどい。
でも、気心のしれた仲間と一緒にやると、
「労働」というより一つの「楽しみ」にもなり得る。

生きることって、本来は楽しくなくちゃやってられない。

「お日様の光」の記事のテーマとも同じなんですが、
実は、日常生活の楽しみを奪って
常に人を欲求不満の状態にしておくことで、
支配することができます。

自分の生活の中で楽しく満たされている人って、
支配できない。

自分の欲求不満を満たすために、
他の人から「すごい」と言われようとして
ブランド物買ったり、整形手術したりしないわけですよ。
勝ち組になろうとして戦ったりもしない。

電車の中でたくさんの人が
スマホでゲームやったり
通販サイトひたすらスクロールしたりしてるの、
欲求不満で何かで満たそうとしているからでしょ。
そういう状態だと、世の中がNISAだと言えば
素人が自分に適性があるのかどうかも考えずに
株買って大損したりする
(適性のある人って何事においてもいるので、
向いてる人は利益あげるでしょうけど。
よっぽど適性があると自負している人じゃない限り、
政府と維新が推進している時点で手を出さないのが
良識ってもんじゃないですかね)。

自分の生活が楽しくて満たされている人って、
広告に踊らされることが少ないわけですよ。
もちろん生活に必要なものは買いますけど。


過去の生活様式の中で、
女性が「嫁」という立場で
奴隷労働をさせられていたというような
ネガティブな要素を排して、
今だったら純粋に楽しくできることって、結構ある。
編み物記事全然書いてないけど、私の編み物もそう(笑)。

私に味噌づくりを教えてくれた彼女は、
以前から味噌の講習をやっていたんだけど、
コロナの自粛期間中はZoom使ってやっていたとのこと。
めっちゃ今どきだなと思いました。
コロナ自粛に限らず、そんなのもありよね。
友達と遠隔でおしゃべりしながら
いろんなもの仕込んだり作ったりするのも、
ほんと「あり」だと思います。


もう一つ、感心したのが、
彼女の人脈で「ふつーのルートでは手に入らない良質な材料」を
用意していただいたこと。
あるんですよ、そういうの、結構。
「一般人は知らない、買えない」っていうもの。
生産者さんも「いつも買ってくれるこの方の分は取り置きして
注文を待っている」みたいなもの。
一般市場に流すほど量がない、とか。

本当にいろいろなものが破壊されてしまっている日本の中で、
それでも個人個人のレベルで、
良いものを作りたい、良いものを維持したいとがんばっている人が、
いろんなジャンルでいる。
そういうのが、個人のコネクションという細い糸でつながって、
メインストリームからは見えない形で
密やかに流通している(別に秘密にしているわけでもないんだけど)。


以前、ネットで「台湾はすべて外食でおふくろの味というものがない」
というのを読んだことがあって、
台湾はよっぽど良い社会なんだろうなぁと思ったことがあります。
食事をすべて外食に頼っても、
健康的で経済的な食事が提供されている、という意味で。
今ネットで調べると、地域と世代と民族とでだいぶ差異があるようで、
完全外食なのは、都市部の共働きの世帯が中心のようです。
(女性の正社員率が98%くらいというのも読んだことがあります。)

かたや日本では、外食に頼ると
あっという間に外食産業の餌食にされてしまう。
自分の子供の頃の記憶をたどっても、
私の親は割と保守的で健康的な食事を意識していたけど、
小学校では人気者の元気な子たちがマックの話をしているので
マックのハンバーガーを食べてみたいなぁと思ってました。
子供っていうのはそういうものなんで、
経済至上主義の外食産業に惑わされるなっつー方が無理なんですよ。

日本の経済が強かったときは、
望めばいくらでも上質なものを食べられたけど、
経済が失墜した今、
コンビニ弁当の新たなメニューとして
ごはんに揚げ玉のっけただけの「揚げ玉弁当」なるものが
発売されたとかいうニュースを見る始末。

社会に基本的な良識とか倫理観がないと、
ひとたび経済が失墜すれば、このありさまですよ。
それに、社会に基本的な良識とか倫理観があれば、
日本経済がここまで失墜するっつーこともないのね。

こんなこともあるので、私は、
食は手放さない方がいいと思っています。
毎日自炊するべきとか言いませんし、
ファストフードもスナック菓子も食べるなとかも言いませんが、
自炊はできた方がいい。
自分を守るために。

お金持ちなら今でも良い食事はできるけど、
コンビニで揚げ玉弁当しか買えない経済状況でも、
自炊手放していなければ、
意外と「抜け道」ってあるんです。
良いものを知っている人脈通じて、
なんだかんだ流れてくるものってあるんです。

ただまぁ、X(ツイッター)でもいつだか言われていましたが、
「自炊ができる」「食材を無駄にしないで使い切れる」っていうのは、
誰にでもできるというものではなく、
それができるということ自体が「立派な文化的資産である」、と。

それから、料理自体はできる人が、
忙しすぎて自炊ができなくなることってあると思うんですが、
そういう状態って2~3年は持ちこたえても、
これから先何十年も続けていける生き方ではないでしょう。
自分の生き方、働き方、これでいいのかな、と見直すための
判断材料にもなると思うんですよね。
もっと大きく言えば、
日本の社会、これでいいのかな、と見直すことにも
つながるとも思います。

ちょっと長くなってきちゃったので、
「自炊ができるという文化的資産」を、
個人的にも社会的にもどうやって作っていこうかって話は、
また別の記事に譲りたいと思います。

あと、友人に教えてもらった味噌づくりで、
味噌以外の収穫もあったので、
味噌記事、もう1回続きます。