クロッシェレースのモチーフを使って、大きなバッグを作りました。
私は手荷物が多くて、リュックを使うことが多いのですが、
こぎれいな恰好をした時にも使える大きなバッグが欲しくて、
作ってみました。
このデザインは、
『アンティーククロッシェより 50のモチーフと22の作品集』(文化出版局 2011)
に掲載されているモチーフNo.35を使って作りました。
この本は、福岡美津子さんという方がフランスノルマンディー地方で収集した
アンティークレースのモチーフをもとに、
現代の技法で理解できる編み方になおして編集したものです。
大きなバッグを作る前に、↑習作として、本に載っている通りの作品も作ってみました。
本に載っているのは、持ち手が竹の輪で、もっとおしゃれですが。
クロッシェレースのモチーフつなぎの利点は、
小さなモチーフを編みながらつないでいく作り方なので、
半端糸を使うのにちょうどよいところ。
上の大きなバッグを作るのに使った糸は、
別の作品を作るのに使って、うまくいかず、ほどいて保管していたものでした。
2021年に商品としてご紹介した「マーメイド・ニット・スカート」の色違いとして
作ったものでした。
銀色でより魚感が増して、素敵だなぁと思って。
ただ、商品化というか現金化を焦るあまり、
オリジナルの紫色の糸と同じゲージで作ったら、
糸のかたさや太さが違うので、質感がまったく違ってしまって(笑)
そうこうしているうちに、
このデザインが、化繊のレースを使ったマーメイドラインスカートとして、
大流行してしまいました。
一時、若いお嬢さん方が、
みんなカラフルな化繊レースのマーメイドラインスカートはいていて、
「なんかすごいことになったな」と思いました。
私は、「この複雑な編み方できる人はそうそういないから、
これは売れるだろう!」と思って、
だいぶ「取らぬたぬきの皮算用」をしていたのですが、
世間はこういう風に動くんだなぁと思って、びっくりしました。
まぁ、私が素敵だと思って作るデザインが、
世間の人にとっても素敵で、影響力があると知れたので良かったのですが。
ちなみに、私が編み物勉強した学校の機関誌にも、
この写真をまねたデザイン画が掲載されていて、
とても複雑な気持ちになりました。
もっとも、このマーメイド・ライン・スカートのもともとの編地は、
私がとても尊敬しているニット作家の、
志田ひとみ先生のストールの編地です。
『クチュール・ニット 春夏 涼やかな大人のニット』
(志田ひとみ ㈱日本ヴォーグ社 2009)
に掲載されている木の葉模様のストール。
オリジナルは茶色の糸で編まれていましたが、
私は紫色の糸で編みました。
そのストールを眺めているうちに、
これでタイトなマーメイドラインスカートを作ったら素敵だなぁと
思うようになりました。
私は、東日本大震災の後、重度のうつ病になって
自宅療養しました。
生きようとか、人生をやり直そうとかいう気持ちはまったくなく、
ただ苦痛を和らげるためだけに、精神科の治療と鍼灸治療を受けていました。
そうこうするうちに、寝たきりでいることに飽きてきて、
家にあったものを使って編み物をはじめ、
それが自分に合っていたようで、
だんだんに手芸店で編み物本も見るようになりました。
その時に、志田ひとみ先生の作品集に出会いました。
本当に美しくて繊細なニットに心惹かれて、夢中で作っているうちに、
私は少しずつ元気になってきました。
やがて、私は幸せになりたい、結婚したいと思うようになり、
社会貢献を熱心にしている、人がたくさんいる会社に就職しました。
数年後、その状況では私はうつ病を完治することができず、
いつかあきらめて自殺してしまうと気づいて退職し、
違う生き方を探して自分が少しでも興味があることを勉強しました。
その中の一つが、編み物で、
志田ひとみ先生も教えていらっしゃる編み物学校に
入門クラスから入りました。
が、志田ひとみ先生がいらっしゃる間に、
先生のクラスを受けられるレベルまでいけず、
お会いすることもできませんでした。
平面の編み図から、スカートを自分でデザインすることができるようになって、
このマーメイド・ライン・スカートを作品として完成させても、
志田ひとみ先生に、
「先生のストールの編地を応用して商品を作って販売してよいか」の
許可をいただいていませんでした。
だから、結局、このスカートを売ることができない状況になって
良かったと思っています。
私は、東日本大震災の後、「自殺する気力もない」といううつ状態になりました。
その状態から、就職しようと思うところまで回復したのは、
志田ひとみ先生の美しくて上質な編み物作品に出会えたから。
だから、不義理を働くことにならなくて、良かったと思っています。
今、太平洋沿岸各地で、大きな地震が起こっていますが、
心の痛みを感じているたくさんの方々の心が癒えていくことを祈っています。
そして、もし苦しみを手放すのに時間がかかってしまったとしても、
そのことで自分を責めないでほしいと思います。
今、私がネットショップに商品を上げていないのには
いくつかの理由があります。
マーメイド・ニット・スカートのように渾身の複雑で美しいものを作っても、
化繊レースのような形で簡単に安く模造品が作られてしまうことに
ショックを受けたことも一つ。
それと、自分自身と深く向き合っていく中で、
自分がとても傷ついていることに気づいて、
そういう時に編み物教室をやって生徒さんを抱えたり、
1着数万円~数十万円する高価なニットを売るのは、
やめた方がいいと感じたこと。
私はお金持ちの方と出会って気に入られたりするようなところがあって、
自分が傷ついて心が飢えている時に、
お金持ちの人に取り入ったり、生徒さんを抱え込んだりするのは、
何か良くない影響が出てしまうだろうと思ったから。
それと私は霊的な感覚があって、
自分の過去生のこともいくつか自覚があるのですが、
以前、すごくつらい感情について自分の内面を見ていった時に、
赤ちゃんの時に捨てられて死んだということが見えました。
私が好んで作る編み物は、白やパステルカラーの柔らかい色合いで、
ふわふわしたモヘアのレース編みのようなものが多いのですが、
「私、おくるみが欲しかったんだ」と気づきました。
それで「商品を作って売るよりもまず、自分のためのものを作ることが先だ」と
思って、自分のセーターや靴下や下着を作ることにしました。
(でも、それすらも言い訳で、
私はただ単にいろんなことが怖くなってしまったのかもしれません。
自分のそういう弱さも認めて受け入れないといけません。)
もっとも、鍼の先生には
「おくるみが欲しい人たくさんいると思うよ(売れるよ)」と言われましたが(笑)
ガチの「おくるみ」じゃなくて、赤ちゃんを包むおくるみのような、
優しい風合いの上質なニット、という意味ですけども。
ちょっと何の話をしていたのかわからなくなってしまいましたね(笑)
私の文章はいつもこんな風ですが。
この銀色の糸には、いろいろな過去の思いがあって、
かつ、昨年すごく大変なことがあった夏~秋の移動中や空き時間に、
このモチーフを編みつないでいたので、
このバッグを使える形にまとめ上げて実際に使う、ということに、
私自身の大きな心の棚卸のような意味がありました。
書きかけて話が違う方に行ってしまいましたが、
モチーフつなぎの作品は、そういった半端糸を消費するのに良いです。
「編み物のヒント①②」の記事でも書きましたが、
編み物の途中で糸をつないで糸始末をするのは、結構な手間です。
かつ、商品などを作るときは、
糸をつなぐのは編地の途中ではなく、編地の端ですることになっています。
平面の編地の端で糸始末をすれば、編地本体に影響がないので。
そのため、糸はできるだけ長いものをそのまま使いたい。
だから、1回作ってほどいたようなものは使い物にならなくなってしまいます。
それがモチーフつなぎだと、モチーフ一つ作るごとに糸を切るので、
半端な長さの糸も使いやすくなります。
と、いうわけで、「失敗して半端糸作っちゃった」みたいな時、
自分用のモチーフつなぎの作品作るの、おすすめです。
