2021年1月31日日曜日

すげぇなオタマトーン

日本は日々難しい状況が続いていて、気がふさぐ毎日ですが、
先日ネット上ではちょっとおもしろいことがありましたね。

ご存知の方も多いかと思いますが、
ゴット・タレント(Got Talent)のスペイン版、
明和電機さんのオタマトーンで
プッチーニの『誰も寝てはならぬ(Nessun dorma)』を
演奏した動画がアップされていました。

オタマトーンっておもちゃじゃなかったっけ?と思っていたのですが、
すげー本当にオペラ歌手が歌っているような演奏でびっくり。

スペイン版ゴット・タレント

日本語訳つき 【ジェフの翻訳チャンネル】

元気が出ない時に何回となく見ています(笑)

内容については、すでにいろんな方がいろんな場所でおもしろいコメントされてると思うので割愛しますが、私が個人的にツボった場面だけ、ご紹介させていただこうかな。

審査員で、サイモン・コーウェルに当たるリスト・メジデ(スペイン語の発音だとメヒデ)さんに詰め寄るほかの審査員二人。



なんですかねぇ、この絵に描いたような美男美女が
腕組みして「どうよ」「どうなの」っつー煽り顔してる絵面(笑)

なんか映画の1シーンか盛りすぎのコマーシャルみたい。
トムとジェリーとかでもこんな絵面見たことあるような気がする。

っていうか、欧米人ってリアルでこういう顔(と仕草)するんですね(笑)
日本だと「マンガの中にしかないリアクション」ってあるじゃないですか。
「てへぺろ」とか「ズッコケる」とか(『日本人の知らない日本語』, 著:蛇蔵&海野凪子, KADOKAWA, 2009 が初出だと認識しています。違ったらごめんなさい)。

あと、この気難し屋リスト・メジデ氏が舞台でオタマトーンを試す場面。
司会者が大仰に「マエストロ、どうぞ(Adelante, maestro.)」と言っています。
オペラとかクラシック音楽好きな人はこの言い回し聞くことあるかと思いますが、
普通、指揮者とか大家が登場する場面です。
それに続く絵面がこれ。


いや、まぁ、オタマトーンでNessun dormaっつーのがそもそもシュールすぎるので、
その後にどんなシュールな場面が続こうと、
もはやどーでもいいっつう域ではありますけどね。

っていうか、オタマトーンの演奏で感動のあまり涙が止まらないとか、
ティッシュ俺にもちょーだいとか、それはラテンの魂が成せるものなの?
私だったら椅子から転げ落ちて笑う以外のリアクションはありえないんだけど。
それかドン引き。「え、オタマトーン???…すげー」みたいな。
なんでスタンディングオベーションになってるの???

ただ、私は外国の人が「日本人おかしい」とか言うの、
だいたいはこういうパターンで、
日本ではおもちゃであるオタマトーンでオペラの名曲とか演奏してくれちゃって、
騒ぎを大きくして「ほら、日本人おかしい」みたいなことしてるの、
あんたたち外国人じゃね?と思っていたんだけど、
オタマトーンつながりの動画がぞろぞろ出てきて、
日本にもなんかすごいガチオタマ勢がいることを知りました。
以下私が気に入ったもの↓




プロのバイオリニストの方何人かいらっしゃいました。
音大生でオタマトーン用の曲作曲した方とかもいました。
オタマの音色に合った良い曲でした。
あと、オペラに合うだけあって演歌にも合いますね、オタマの音は。

日本のガチオタマ勢の皆様は、オタマトーンを三味線の角度で持つ方が多いですね。
オタマの「歌ってる感」が出るのは、スペイン版みたいに縦持ちですが。

ちょっとね、オタマトーン買っちゃおうかなみたいな気持ちになっていたのですが、
このガチオタマ勢の皆様の演奏を見て、
「私に入れる世界じゃない」と思ってやめました(笑)

2021年1月11日月曜日

解脱とか、終わりなき競争とか

 朝日新聞の1月8日(金)朝刊、鷲田清一氏による『折々のことば』、
台湾の若きIT大臣、オードリー・タン氏の言葉が紹介されていました。

以下、紙面より引用。


ルートが固定されているから、勝者と敗者が存在するんです。
オードリー・タン

学校ではみな同じコースで競争させられるが、実際の社会ではそんな勝ち負けで各人の能力が判定されるわけではない ~(中略)~
「命の赴く方向」は人それぞれ。人は私を「天才」と呼ぶが、それは同じ一つの判定基準という幻想から人より先に醒めたということにすぎないと。

 

出典は、アイリス・チュウ/鄭仲嵐の『AU オードリー・タン 天才IT相7つの顔』とのこと。

 いや、仏陀の御言葉ですかね。
『人は私を「天才」と呼ぶが、それは同じ一つの判定基準という幻想から人より先に醒めたということにすぎない』とか。
目覚めし者ですわ。

宮本武蔵も自身の剣の奥義について、これは誰にでもできることである、と書いていると読んだことがあるのですが、これは出典確認してないのでちょっと置いておくにしても、
先のオードリー・タン氏の言葉には、あ~やっぱりそうなんだなぁ~という感慨を抱きました。

オードリー・タン氏の本買いたいけど、まだデカくて高いだろうなぁ(笑)
私は文庫になってから買いたい派なんで(本棚常にいっぱい)。


一方、昨年私が衝動買いした本で、すげぇなこの本、と思ったのが、
『あやうく一生懸命生きるところだった』
 文・イラスト:ハ・ワン 訳:岡崎暢子,ダイヤモンド社,2020年

以下引用(P.9)


頑張って!(ハイハイ、いつも頑張っていますよ)
ベストを尽くせ!(すでにベストなんですが……)
我慢しろ!(ずっと我慢してきましたけど……)

  (中略)

幸せになるどころか、どんどん不幸になっている気がするのは気のせいだろうか?


なんか身に覚えがありすぎますね(笑)

すごいなと思うのは、この著者がそう感じて自分からドロップアウトしたこと。
私もず~っとがんばれがんばれでがんばってきたけど、うつ病になって倒れるとかで、
主体的にドロップアウトできたためしがなかったなぁ。

この本によれば、韓国では2000年頃から、「お金持ちになってください」という言葉があいさつ代わりに使われるほど、みんなが「頑張ればお金持ちになれる」と思ってそれを目指しているのだとか。

景気が低迷というか下降線の一途をたどって30年の日本とは違い、韓国はどんどん景気がよくなって、活気にあふれているんだなぁといううらやましい気持ちと、
一方で、お金持ちを目指して熾烈な競争にまい進することのゆがみを感じていた、かつての私自身の記憶とがないまぜになって、複雑な気持ちになりました。

昨年メルカリで、すごくきれいなカッティングのシンプルな水着が出ていましてね、
ずいぶんお安かったので購入したんです。
イタリアのブランドで、最高級品ってわけじゃないけど、カッティングの美しさとか、バストを美しく見せるパッドの仕込み方とか、さすがだなぁと思ったのです。
未使用品で韓国語のタグがついていましてね、気に入ったので検索してみたら、
日本ではバッグの販売しかしていない。
でも韓国では水着含めアパレルも販売しているということなのでしょう。
それだけの購買力が韓国にはありるけど、日本では売れない、ということです。
ネトウヨの人たちとか、ずいぶん変な思い違いをしている日本人はいるけど、
このくらい経済規模が離れちゃっているんだなぁと思いました。

ただ、なんというか、かつて日本にもこんな時期があり、その時の雰囲気ってちょっと覚えているんですよ。

どこのCMだか忘れちゃいましたが、メールに動画を添付して送れる携帯かPCかなんかのCMだったと思うのです。
ママ友から、赤ちゃんが立った瞬間の動画が送られてきたのを見て、
「うちの子だって~!」と言って赤ちゃんが立ちあがった動画を撮って送り返す、
というのがありました。
機能が進化したことはいいし、赤ちゃんも可愛いけどさ、
最新の機器だけじゃなく、子供の成長まで、競争の道具にされること、
それをさも当たり前、みんながそうしている、みんながそれを望んでいることとして、
テレビで放送される気持ち悪さ。
このCMによってこの機器の売り上げが上がると考える売り手と、
このCMを見て買う購買側。
どっちも気持ち悪くないですかね。
ま、その後延々、お受験だの就職だの縁談だの出世だのマイホームだのと続くわけですよ、終わりなき競争が。

近年見て気持ちわりぃと思ったCMは、どこのだか忘れましたが、
なんかハイソな夫婦が娘さん連れて歩いていて、母親が「今夜何食べたい?」と聞くと、
娘さんが「マルゲリーター!!」と答えるというもの。
さすがに笑っちゃいましたよ。
マルゲリータとか、チーズとバジルとトマトソースしか載ってないピザ、
大人が食べたって物足りないのに、育ち盛りの子供が夕飯に食べたがるかっつーの!
イタリア人みたいにピザの他にメインになる肉料理も食べるならマルゲリータでいいだろうけど、日本人そういう食べかたしないじゃん(笑)
マルゲリータしか食わんじゃん。
ピザだのパスタだのって、炊き込みご飯相当で、子供が食べたがるメインって別だよね。
でも、「ハンバーグ!」とか「から揚げ!」とかありきたりなこと言わない(間違っても「サンマ!」とか言わない)、こじゃれたイタリアンを食べたいという子供がいる、
普段からオサレな生活をしているハイソな私達、を目指している人たちを狙ったCMなんだろうなぁと思いました。

まぁ切りがないですわ、こういうの。

で、子供は親の期待に応えようとして一生懸命頑張って、燃え尽きて、どこかの段階で倒れる、という一連のコースをたどった日本の社会と、
景気が良くて前向きで、希望があるのは素敵だけど、なんかかつての日本と同じ兆候が見えなくもない今の韓国と、なんともモヤモヤした気持ちになりました。
まぁできたらかつての日本の轍は踏んでほしくないし、うまいやり方を見つけて、うまく行ってほしいなぁと思います。

で、この本の著者ハ・ワンさんは、「もう無理!」とこの終わりなき競争から降りた人。
全編ゆる~くて(イラストも)、ダメダメ感にあふれているのだけど、
「みんな一体、何に向かって頑張っているのさ?」と見抜いて、
「じゃあほかにどんな生き方があるんだろう?」と自分で見出そうとしているすごい人
(でもがんばらない)。

中でもすごいなと思ったのが、
『「仕組まれた欲求」に惑わされるな』の項。
男性向けの雑誌を読んでいるとなんかモヤモヤすることについての考察。
以下引用。


ガチガチに決めたくない日の、無造作に羽織れるブラックカーディガン
120万ウォン(約12万円)

ああ、僕は翻弄されている。100万ウォン以上するカーディガンを、本当に無造作に羽織れるというのか?
その前に、カーディガンに100万ウォンも出すやつがいるって本当か?
(P.248)


そうだ、雑誌の目的は読者に挫折感を与えることだ。
そしてその挫折感の正体は、高度に計算されたマーケティング戦略である。
多くの人がブランド品への欲望を抱く理由は、簡単に購入できないからだ。そんな挫折感がブランド品の価値を高める。
挫折感は、みなの欲望をいっそう煽り、ようやくそれを買えた人たちは、挫折感から抜け出せた喜びを享受する。と同時に、まだ入手できていない人たちにまた別の挫折感を抱かせ、持てるものはほんの一瞬の優越感を味わう。
しかし、そんな喜びもすぐに消えてしまう。挫折感は休みなく降りそそぐからだ。
金持ちにだって”挫折マーケティング”は有効だ。彼らにとって大切なのは、自分の挫折ではない。他人の挫折だ。高価すぎて誰も買えないという事実だけでも、彼らは財布を開く。
ある学者もこう言っていた。富の真の目的は「誇示」だと。
(p.250)

 
この作られた競争に気付き、降りること。

今私が気になっているのは、
この『挫折マーケティング』、要するに優越感中毒なんだけどさ、
多くの人にとって経済的に豊かになるのが難しいと感じられる今の日本では、
ネット上のマウンティング競争になっているように感じるんだよね。
特にネトウヨというか、自民公明維新支持者、PCR抑制論者、アンチフェミ、レイシストのツイートって、支離滅裂なんだけど、とにかくその場で相手を黙らせて「自分が勝った」と感じられさえすればいい、という印象を受けます。
すべての人の健康とか、尊厳をもった生活とか、科学も文化も経済も含めた全体的な発展とか、公正さとか正義とか倫理とかもぜ~んぶぜ~んぶ投げ捨てて、
今この一瞬、相手を黙らせて自分が勝ったと感じられればいい、その1点だけ。

それはただの中毒なので、一瞬の快感以外に、誰も幸せになりません。
正直言って国を滅ぼします。

ちょっと話が重くなりました。
大事なことなので、また違うタイトルで書きたいと思いますが。

で、この本、著者ハ・ワンさんのダメダメ感あふれる文章もイラストも秀逸なのですが、
翻訳がすごい!
日本語翻訳 岡崎暢子さんですが、この方はきっと本当に韓国が好きで、韓国語も大好きなんでしょうねぇ。
そして、日本語の語学力が本当に素晴らしい。
こんなに素晴らしい翻訳、久しぶりに読みました。
原著がどんなに良くても、翻訳だめだと全部だめになります。
ここ数年、そういう本が無駄に量産されていて、新刊本を読むことに疲れ切っていました。
翻訳についてもいろいろ書きたかったのですが、もうだいぶ長くなっちゃったので、
翻訳や日本語の取り扱いについては、また改めて書きたいと思います。

2021年1月9日土曜日

虹色モヘアのプルオーバー【商品のご案内】

先日、オンラインショップを開設致しました。
何分私が一人で細々と作ったものをアップしているだけなので、
今後も、「豊富な商品展開!」になることは
決してないだろうと思われますが、
お気に召したものがありましたら、
ご縁をいただければ幸いです。

というわけで、商品のご案内といいますか、
作った側の勝手な思い入れを
語らせていただきます。


【虹色モヘアのプルオーバー】


優しいパステルカラーのグラデーションと
ふわふわのモヘアの質感を生かすよう、
シンプルで愛らしい模様で編みました。


これ実は、編み物学校の課題で、
フレンチスリーブのプルオーバーとして作ったものの
アレンジです。

グラデーションカラーのモヘア糸と、地になる糸を
引きそろえて編んでいます。

当時、学校で課題作りのための試し編みをしていたところ、
担任の先生が「夢々しいもの編んでるね!」と感嘆符つきで仰いました。
その後にももう1回言われたので、
その先生にとっては本当に「夢々しい」ものなんだろうな、と
妙な感慨を受けました。

まぁ「夢々しい(ゆめゆめしい)」などという形容詞自体
初めて聞きましたが。

出来上がったフレンチスリーブ・プルを見ていただいたときも、
「邪気がない。。私は邪気にまみれているけど、
(このニットには)邪気がない。」と言われました(笑)
いや、私も邪気にまみれてますけどね。
この歳まで生きていればいろいろありますんでね(笑)

*******

で、私はこの虹色のグラデーション糸大そう気に入りまして、
こうやって作品に仕上げて販売する以外にも、
引きそろえ用の地糸やオリジナルの編み図と合わせて、
オリジナルキットの販売もしようかなぁなんて考えていたのです。

色糸と地糸、私はこの組み合わせがベストだと思っているのですが、
それぞれ違うメーカーの製品です。

まぁこういう複数のメーカーを跨いだ作品だのキットだのっていうのは、
メーカーの依頼で作品を作る一流のプロの先生方は逆にやりにくくて、
私のような一介の編み物好きの方が、自分の裁量で商品化できるわけです。

とかなんとか思っていて、昨年ようやく時間ができたので、
取引をいただいている問屋さんに糸注文したら、
グラデーション糸のこの色番は、廃番になっていました。

うひょ~と思って慌てて知っている範囲で探したところ、
某手芸屋さんだけ少~し残っていたので、全部買い占めました
ま、あくまで「私の知っている範囲」なので、
どっかからどっさり出てくるかもしれませんが。
(メーカーさんにはないみたいですね、問屋さんの感じだと。)

某手芸屋さんで対応してくださった店員さんも、
「(このシリーズの中で)これが一番かわいい色なのに、
 なんでこの色が廃番になるんでしょうね」って仰っていました。
「ほかのどす黒い色(!)残ってるのに」とも(笑)
私もそう思いますよ。

しばらく前から、いろんな場所でこの色だけ品薄だな~とは思っていて、
「かわいくて人気だから、在庫足りなくなってるのかな」くらいに思ってました。

私がレストランとかで編んでいると(いつも独り飯なので)、
フレンドリーな店員さんは「すっごくかわいい色ですね」って話しかけてくださいます
(タイ料理、創作フレンチ、創作お番菜とかオールジャンルですわ(笑))。
こんなにいろんな人が「かわいい」って言ってくれるものが、なんで廃番になるん???
オトナの事情は私にはわかりません。

ま、ともかく、昨年買い占めた分と、もともと少~し持っていた分と合わせて、
あと数着分あるので、帽子とかマフラーとか小物がいいのか、
プルオーバーがいいのか、様子を見ながら大切に作っていきたいと思います。

*******

学校の課題作品からアレンジするにあたって、
肩やダーツなどの調整を入れて、
着心地やフィット感を向上させています。

いつものように(笑)、
トルソーにズボン履かせるのが難しいんでスカートと合わせていますが、
これもプルのテイストが甘いので、白いズボンの方が合います。

現在、フレンチスリーブのバージョンも仕上げ中で、
こちらも近日中にアップしたいと思います。
(フレンチスリーブ版も調整入っています。)

2021年1月1日金曜日

明けましておめでとうございます

明けましておめでとうございます。

みんなが生きて行く、
みんなで生きて行く社会のために、
ひとつひとつのことをやっていこう、と、
今、改めて思います。

ひとりひとりの人が、
大切にされる社会にするために。

間違っているものには間違っていると言う。
そして、大きく報道されることがなくても、
正しいことをコツコツとやっている人を見出して、
自分も少しでもそのようにあれるように
努めていきたいと思います。

みなさまの健康と安全をお祈りし、
新年のご挨拶とさせていただきます。

*******

オンラインショップを開設いたしました。
ブログ同様、細々と続けていきたいと思っております。
ご縁をいただけましたら幸いです。