食について、
概念的なことや長期的な変革が必要なことグダグダ書く前に、
すぐに役に立つ実用的なレシピをちょっとあげておきます。
今、劣化の極みの政治・経済によって、
たくさんの人が倒れてしまう前に、
踏みとどまれる人が一人でも増えるならと思って。
【油揚げとかいわれのサッと煮】
材料
・油揚げ 1枚
・かいわれ菜 1パック
・麵つゆを水で割ったもの 1/2~1カップ
作り方
①油揚げをざるに入れ、熱湯をかけて油抜きする。
②油揚げの長辺を1/4に切ったものを、細い拍子切りにする。
③かいわれ菜を洗い、根本を切り落とし、半分の長さに切る。
④市販の麺つゆ・出汁つゆ等を、「煮物」の分量で水で割る(薄めの方がおいしい)。
⑤油揚げと麺つゆを鍋で煮立たせ、火を弱めて2分ほど煮る。
⑥かいわれ菜を加え、蓋をして軽く蒸し煮にする。
このレシピ、もともとは
オレンジページの『毎日のおかず大全集』に掲載されていた
「油揚げと貝割れ菜の煮びたし」というきちんとしたお料理なのですが、
このレシピ本がもう絶版で紹介できないので、
私が普段作るときの『手抜き版』をご紹介しました。
オリジナルのレシピでは、
油揚げを半分に開いてから切ったり(味を含みやすくなる)、
煮汁も、だし汁とみりん・しょうゆできちんと味付けしています。
見てわかる通り、メインの材料が油揚げとかいわれ菜という、
スーパーでいつも安く手に入るものだけ。
私が買い物する場所だとかいわれ菜は60円くらい。
油揚げは選ぶものによりますが、国産大豆の手作り風が2枚で120円くらい。
麺つゆ・出汁つゆは、今はどこのスーパーでも手に入ります。
10年くらい前に、私は江上料理学院で料理を勉強したのですが、
悪天候で野菜が高くなった時期があって(今ほどじゃないですが)、
「野菜が高くて買えないんだけど、どうしたらいいですか?」
と先生に聞いたら、
「スプラウト類(発芽野菜)は天候関係なく価格が安定しているから、
葉物(レタスとかほうれん草とか)が高い時は
スプラウト類を使うといいよ」
と教えていただきました。
しかも発芽野菜は栄養価も高いとのこと。
ただ、発芽野菜の種って輸入していると思われるので
(もやしの緑豆とか輸入に頼っている)、
日本経済の悪化によって、最終的には
発芽野菜も高くなるんじゃないかなとは思ってます。
ま、とりあえず今を乗り切るために。
食べてみるとわかるのですが、
出汁の優しい風味に、かいわれ菜のピリッとした辛味、油揚げの油の甘味、
と、味のバランスが良くて、疲れている時や食欲がない時でも食べられます。
そして、大豆の植物性たんぱく質と、かいわれ菜の野菜の栄養が両方入っています。
仕事で疲れて悲しくなった時や、朝食欲がない時でも、
私はこれなら食べることができて、
食べると、ほっとして心が落ち着きます。
麺つゆ・出汁つゆはお好みのものを使っていただければよいのですが、
まぁできたら化学調味料入っていないものの方が良いですね。
日本でみんなから拒絶された食用コオロギ、
「『アミノ酸等』の表示で入れればいいだろ」と河野大臣だか言っていたので。
私はミツカンの八方だしが好きだったんですが、
どこのお店でも見かけなくなってしまって
仕方なく他のものいろいろ試していましたが、
今検索したら、ヨドバシドットコムで扱っていました。
ちなみに油揚げは、
味噌汁なら1枚の1/4が1人分と覚えておくと便利です。
私は油揚げを買ったら1/4に切って、
ラップで包んで冷凍しておきます。
で、使う時に解凍と油抜き兼ねて、熱湯をかけます。
この油抜きの作業は、
生産時の油分が時間がたつと劣化して、においが悪くなるから、
と聞いています。
(なので手作りの豆腐屋さんで今日買ってきたものを使う分にはいらないとのこと。)
私はもともと胃腸が弱くて、
ストレスがたまると食べられなくなって
さらに体調が悪化するという悪循環があったので、
疲れたときはこういう優しいものを食べるようにしていますが、
元気な方でしたら、肉料理や魚料理の副菜として
召し上がっていただくとよいかと思います。
【ブランマンジェ】
材料
・牛乳 450㏄
・コーンスターチ 大さじ5
・砂糖 70~80g
・バニラオイル 2~3滴
・アーモンドオイル 2~3滴
作り方
①鍋に砂糖とコーンスターチを入れて混ぜる。
②そこに牛乳を少しずつ加えて分離しないように混ぜる。
③弱火~中火にかけて木べら等で混ぜ続ける。
④数分するとドロッと重くなるので、火からおろし、容器に入れる。
⑤粗熱が冷めたら、冷蔵庫に入れて冷やし固める(2時間ほど)。
ブランマンジェは、牛乳系白いデザートの中で、
一番安上がりで作り方も簡単。
例えばチーズケーキはクリームチーズ、
アイスクリームやパンナコッタは生クリーム、など材料が高い。
ブランマンジェは、牛乳とコーンスターチと、どちらも手に入りやすいお値段。
私は砂糖にてんさい糖を使っていて、
てんさい糖は上白糖やグラニュー糖より甘さが控えめなので、
砂糖の分量多めにしていますが、
使う砂糖と好みによって調整してください。
ただ、デザート(ドルチェ)をあんまり甘さ控えめで作ると、
食べても食べても満たされないので、
ちゃんと甘く作った方が良いです。
和菓子が意外と甘く作られていて、
見た目の地味さのわりに、
食べるとしっかり満足感があります。
その甘さを参考にしてください。
香りづけのバニラオイルとアーモンドオイルについてですが、
一般的な「バニラエッセンス」のように、
「エッセンス」と呼ばれる香料は熱で揮発してしまうので、
このブランマンジェのレシピや焼き菓子に使う場合は、
「オイル」とついている香料を使ってください。
「オイル」の方が少し高いのですが、
よっぽどお菓子作りまくる人でなければ、
1ビン使い切ることはめったにありません。
なので、どうせ買うなら、
冷たいものにも加熱するものにも使える
「オイル」タイプの方が合理的かと。
アーモンドオイルはお好みで、という感じなんですが、
実は、日本で杏仁豆腐の偽物を作るとき、
アーモンドオイルを使います。
日本では本物の杏仁豆腐の原料杏仁霜はあまり流通していないので、
気軽に杏仁豆腐テイストを楽しみたい場合は、
アーモンドオイルの香りづけで代用されます。
牛乳・砂糖・バニラの香りだけだと、味が全部わかってしまうというか、
クリームを使ったパンナコッタよりコクが足りないな、とか
私は物足りなさを感じてしまっていたのですが、
アーモンドオイルを足すと、
「ちょっと何を食べているのかわからない」という感じになって
深みが増します。
冷やし固めるための容器は、
プリン型やグラスのようなものでも良いですし、
大きい容器で固めて、食べるときに取り分けるのでも良いです。
以前、アンスティテュ・フランセのイベントに行った時に、
透明なプラスチックカップに適宜取り分けて
ストロベリーソースをかけたブランマンジェを販売していて、
すごく美味しくて見た目もかわいくて素敵だなぁと思ったことがあります。
家でレシピ調べたら、材料も安くて作り方も簡単。
家にこれが作ってあれば、疲れて甘いもの食べたくなった時も、
寄り道しないで帰ってこれる(笑)。
かけるフルーツソースは何でも良いです。
高いフルーツソース無理して買わなくても、
ごく一般的なジャムでもいいですし、
モナンのシロップ(グレナディン・シロップはお菓子作りの定番)かけてもよし。
ただモナンのシロップは合成着色料使っているので、
どのくらいの量をどの程度の頻度で使うかは、ご自分の判断で。
コンポート作る方なら、それをのせても美味しい。
あと、昨年、かき氷シロップなるものが
スーパーの処分品の棚にあったので試しに買ってみたのですが、
明治屋ブランドの茨城県産メロン使ったものと、
井村屋ブランドの沖縄県産パイナップル使ったものがあって、
いや、かき氷に限らず、ただの万能フルーツシロップじゃね?と思いました。
色付けはどちらも自然なものを使っているし、
くだものとしては流通させられないB級品を加工してるんだろうと思うし、
ものとしては良心的。
ブランマンジェの白い色にもよく映えます。
アイスクリームにかけたり、ヨーグルトにかけたり、レアチーズケーキにかけたり、
使い道いろいろ。
紅茶に入れても美味しかった。
ブランマンジェみたいなベースになるものがあると、
「これも使えるかな」と今まで見向きもしなかったものを
試してみたりできるのでおもしろいです。
で、意外とすごく美味しいものが安くできてしまうので、
疲れて自分を慰めたいときに、
カフェであんまり美味しくないもの我慢して食べるより、
うちで自分が作ったもの食べた方が満たされる、
みたいなことが往々にして発生します。
安くて簡単に作れるもので、
楽に自分をケアすることができたら、
少し生きやすくなるんじゃないかなと思います。