2021年1月9日土曜日

虹色モヘアのプルオーバー【商品のご案内】

先日、オンラインショップを開設致しました。
何分私が一人で細々と作ったものをアップしているだけなので、
今後も、「豊富な商品展開!」になることは
決してないだろうと思われますが、
お気に召したものがありましたら、
ご縁をいただければ幸いです。

というわけで、商品のご案内といいますか、
作った側の勝手な思い入れを
語らせていただきます。


【虹色モヘアのプルオーバー】


優しいパステルカラーのグラデーションと
ふわふわのモヘアの質感を生かすよう、
シンプルで愛らしい模様で編みました。


これ実は、編み物学校の課題で、
フレンチスリーブのプルオーバーとして作ったものの
アレンジです。

グラデーションカラーのモヘア糸と、地になる糸を
引きそろえて編んでいます。

当時、学校で課題作りのための試し編みをしていたところ、
担任の先生が「夢々しいもの編んでるね!」と感嘆符つきで仰いました。
その後にももう1回言われたので、
その先生にとっては本当に「夢々しい」ものなんだろうな、と
妙な感慨を受けました。

まぁ「夢々しい(ゆめゆめしい)」などという形容詞自体
初めて聞きましたが。

出来上がったフレンチスリーブ・プルを見ていただいたときも、
「邪気がない。。私は邪気にまみれているけど、
(このニットには)邪気がない。」と言われました(笑)
いや、私も邪気にまみれてますけどね。
この歳まで生きていればいろいろありますんでね(笑)

*******

で、私はこの虹色のグラデーション糸大そう気に入りまして、
こうやって作品に仕上げて販売する以外にも、
引きそろえ用の地糸やオリジナルの編み図と合わせて、
オリジナルキットの販売もしようかなぁなんて考えていたのです。

色糸と地糸、私はこの組み合わせがベストだと思っているのですが、
それぞれ違うメーカーの製品です。

まぁこういう複数のメーカーを跨いだ作品だのキットだのっていうのは、
メーカーの依頼で作品を作る一流のプロの先生方は逆にやりにくくて、
私のような一介の編み物好きの方が、自分の裁量で商品化できるわけです。

とかなんとか思っていて、昨年ようやく時間ができたので、
取引をいただいている問屋さんに糸注文したら、
グラデーション糸のこの色番は、廃番になっていました。

うひょ~と思って慌てて知っている範囲で探したところ、
某手芸屋さんだけ少~し残っていたので、全部買い占めました
ま、あくまで「私の知っている範囲」なので、
どっかからどっさり出てくるかもしれませんが。
(メーカーさんにはないみたいですね、問屋さんの感じだと。)

某手芸屋さんで対応してくださった店員さんも、
「(このシリーズの中で)これが一番かわいい色なのに、
 なんでこの色が廃番になるんでしょうね」って仰っていました。
「ほかのどす黒い色(!)残ってるのに」とも(笑)
私もそう思いますよ。

しばらく前から、いろんな場所でこの色だけ品薄だな~とは思っていて、
「かわいくて人気だから、在庫足りなくなってるのかな」くらいに思ってました。

私がレストランとかで編んでいると(いつも独り飯なので)、
フレンドリーな店員さんは「すっごくかわいい色ですね」って話しかけてくださいます
(タイ料理、創作フレンチ、創作お番菜とかオールジャンルですわ(笑))。
こんなにいろんな人が「かわいい」って言ってくれるものが、なんで廃番になるん???
オトナの事情は私にはわかりません。

ま、ともかく、昨年買い占めた分と、もともと少~し持っていた分と合わせて、
あと数着分あるので、帽子とかマフラーとか小物がいいのか、
プルオーバーがいいのか、様子を見ながら大切に作っていきたいと思います。

*******

学校の課題作品からアレンジするにあたって、
肩やダーツなどの調整を入れて、
着心地やフィット感を向上させています。

いつものように(笑)、
トルソーにズボン履かせるのが難しいんでスカートと合わせていますが、
これもプルのテイストが甘いので、白いズボンの方が合います。

現在、フレンチスリーブのバージョンも仕上げ中で、
こちらも近日中にアップしたいと思います。
(フレンチスリーブ版も調整入っています。)

2021年1月1日金曜日

明けましておめでとうございます

明けましておめでとうございます。

みんなが生きて行く、
みんなで生きて行く社会のために、
ひとつひとつのことをやっていこう、と、
今、改めて思います。

ひとりひとりの人が、
大切にされる社会にするために。

間違っているものには間違っていると言う。
そして、大きく報道されることがなくても、
正しいことをコツコツとやっている人を見出して、
自分も少しでもそのようにあれるように
努めていきたいと思います。

みなさまの健康と安全をお祈りし、
新年のご挨拶とさせていただきます。

*******

オンラインショップを開設いたしました。
ブログ同様、細々と続けていきたいと思っております。
ご縁をいただけましたら幸いです。


2020年12月13日日曜日

水やりさん

 NHKの5分くらいのミニ番組で、
「もういちど、日本」というのがあります。
「新日本風土記」という番組の関連番組なんですが、
日本各地の、いろいろな風土や生活様式なんかを、
紹介しているものです。

私はこの番組が大好きで、
一人暮らしをしていた時に、自動で録画しておいて、
洗濯物たたむ時なんかにちょこちょこ観ていました。

で、観たらすぐ消しちゃっていたので録画残っておらず、
NHKのサイトで少し調べても見つけ損ねたのですが、
すごく心に残っているエピソードがあります。

どこか山間の集落で、外に対しても開かれておらず、
人口も日照も水源も、いろいろ制限があるような土地で、
今も、「水やりさん」という役割の人がいる、というお話でした。

この集落では、川から水を引いてきて
水田や畑を作ることを生業としているわけですが、
その水が、すべての家に平等にいきわたるように、
用水路の弁なんかを使って水の流れを調整するのが、
水やりさんの仕事です。

水やりさんは、「水が平等にいきわたっているかどうか」を確認するために、
日々、田んぼや畑を見て回って、水不足で育ちが悪いところがあれば、
そこに水が多く流れるように調整をします。

この水やりさんは、集落の信頼で任命されているとのことで、
この信頼を裏切ることがないよう、責任をもって仕事をしています。

これね、これこそが「政治」の原点だと、私は思います。

山間の集落で、外部との交流も少なく、
この集落という共同体だけが生命の場である、
という状況だったのだろうと思います。

その閉鎖的な空間で、過去に何かがあったのか、
あるいは、もともと賢く心優しい人々の多い地域だったのかは
わかりませんが、
どこかの段階で、力が強く、川の近くに住んでいる人だけが
豊かさを享受できる仕組みでは、
共同体が崩壊する、ということを理解したのでしょう。

洋の東西を問わず、過去の物語を読んでみると、
お金持ちと貧乏人がいる未熟な共同体で、
多くの悲劇が生じています。
お金持ちの家に生まれた若者が、貧しい家の娘に恋をした
(逆もまたしかり)、とか。

川の近くに住んでいる有力者だけが豊かでも、
他の弱者がどんどん倒れて行けば、
その共同体は衰退していきます。
金持ちの家1軒だけが残ったって、
配偶者が生まれる家がなくなれば一代で終わりだよねって話です。

長く続いている愚劣を極めた自民党政権の、
現総理である菅さんは、
「自助」とか言ってくれちゃってますけどね、
「自助」ってのは、この水やりさんが平等に各家に水を流してくれた後、
自分で畑や水田で作物を作ることを言うんです。
いくら水やりさんが水流してくれても、
理由もなく(体調とか家の事情とか)農作業サボったなら、
自分でもっとがんばらないとって話にもなるだろうけど、
そもそも金持ちの家が水源独占して、
農業に必要な水が足りなかったら、がんばっても作物出来ないでしょう。
それは「貧乏な人は自助が足りない」って話じゃないですよ。
ネットでよく言われる「自己責任」ですらないですよ。

付け足すなら、水が十分流れてきていても、
農作業ができない状態だった場合、
隣近所の人たちが、どうしたのか、病気なのかなんか事情があるのか、と
助け船を出すのが「共助」だと思いますよ。

言うまでもないことですが、
現在の社会での水は、お金です。
自助しようにも、生活して働くための最低限のお金がいきわたっていなければ、
どんだけ働いたって生活できませんよ。
人間は生き物なのだから、
なんかのはずみで病気になったり、
事故に合ってケガしたりすることはあるでしょう。
でも自転車操業で毎日ぎりぎりの生活しかできない状況だったら、
そういう時、崩壊するでしょ当たり前に。

私はこの人生でお金持ちだったためしがないので、
10年周期くらいで(笑)、
経済とかお金持ちマインド的なもの勉強したくなる時が来るんですけど(笑)
前回その周期が来た時に、何かで紹介されて
和田裕美さんの『幸せなお金持ちになる すごいお金。』という本を
読みましてね。
図書館で借りて読んだので、手元にないのですが、
ちょっとおもしろい表現があったのが印象に残っています。

この著者がお金持ちになる前に
ある世界的な大金持ちの方と仕事で接する機会があり、
その人から「お金持ちというもの」のエッセンスを学んだようです。
その大金持ちの方は代々お金持ちで、
本人はお金に執着がなく、着ているものとかもどうでもいいようです。
で、和田さんの観察眼なのですかね、
代々お金持ちで、いつもお金の流れの近くにて、
そのお金の流れを自分のところに引き込む術を知っている家系、
というような表現をされていましてね。

先の水やりさんの番組観たのと、
この本読んだのとどっちが先だったか忘れましたが、
あ~、同じ話の、同じ表現だなぁと思ったのです。
まぁ世界的な大金持ち、というのは、
共同体としての世界が大きすぎて、
全体のことが目に入らないんだろうなぁと思います。
で、水やりさんという仕組みを作った集落は、
共同体としては小さすぎるので、
1軒の家が水を独占したらどういう悲劇が起こるかを、
体験から学んでしまったのだろうなぁと思います。

和田さんの本だけ読むとね、
確かにお金の流れを動かす術を知っていて、
代々大金持ちで、
自分もお金に執着を持ったことがない(だから安物の服着ていても平気)、
みたいな生き方、ちょっと素敵かも、みたいな気持ちになりますけどね(笑)

お金持ちの家系に生まれた本人に悪意はなくても、
少なくとも、水やりさんの仕組みを作って現代まで維持した集落の方たちより、
はるかに未熟な精神性なんだなぁと感じます。
それは、このお金持ちの方だけでなく、
今の新自由主義全盛の世の中すべてに言えることですが。


以下の話は、直接お金に関することではありませんが、
共同体というものについて、
知人の行動から私が感じたことを一つ、お話ししたいと思います。

知人で一人、
小学生の娘さんを溺愛している男性がいましてね。
娘さんの弟にあたる息子さんもいるのですが、
息子さんとはあんまりご縁が深くないのか、
娘さんほどの愛情は抱いていない感じの人がいました。

すごく忙しくしている人なので、
家族に対しても十分に気を配ることができない部分もあるのかな、
とは思っていたのですが、
娘さんだけを連れて旅行に行ったりしていたのです。

で、複数の理由はあったのでしょうが
(奥さんに対してもかなりやらかしているのを、
数年前から感じていました)、
結局彼の家庭は壊れました。

彼が奥さんに追い出される形で、
単身で別居になったところまでは見ていました。
(その人は私に対しても相当やらかしたので、
私も関係性が途切れました。)
もう数年前のことなので、その後はわかりませんが。

私は彼の奥さんとは会ったこともないけど、
彼の言動から、いくつかのことは感じるところがありました。

彼は「無条件の愛」という表現をするほど娘さんを愛していて、
娘さんと自分の楽しく幸せな時間のことしか考えられなかった。

でも、奥さんからしてみれば、
娘さんも息子さんも、同じ大切な子供。
その息子さんから「どうしてお姉ちゃんだけお父さんと旅行に行けて、
僕は連れて行ってもらえないの?」と問われたら、
母親である奥さんは、どうしたらいいのでしょうね。

これが、「えこひいき」をしていはいけない理由ですよ。
愛しているのが娘だけであっても、
息子は娘の弟であり、妻は娘の母親です。
弟も、母親も、娘にとっては大切で必要な、愛する家族です。
たとえ、息子が娘ほどかわいくない、
妻への気持ちも冷めてしまった状態であったとしても、
娘にとって、父親だけでなく、母親も弟も幸せでなければ、
幸せではない。
それだけのことがわからなかった。

自分と娘との幸せな時間を維持するためにも、
娘の大切で必要な人である母親と弟も幸せでなければならない。
母親と弟が不幸であれば、娘との関係が引き裂かれるということが、
理解できなかった。

で、私は子供の頃から演劇をやっていて、
憑依型の役者だったので、
体験的にスピリチュアルにならざるを得なかったのですが、
スピリチュアル系の人が「世界平和」みたいなことを言うのって
(まぁ、なんちゃってスピリチュアルが山ほどいるのでアレですけどもね)、
別に頭の中がお花畑だからじゃなくて、
こういうのを体験せずとも理解しているからなんです。

自分と愛する人(もの)との「一番利己的で一番小さな幸せ」でさえ、
自分とその人(もの)以外とつながっていて、
そのつながっている先も幸せでないと、
維持できないんですよ。

彼の話で言えば、彼の望みは自分と娘の幸せだけなんだけど、
そのためには、最低限、娘の母親と弟も幸せでないといけない、みたいな。

で、母親と弟もまたそれぞれのつながりがあって、
じゃぁ食べるものは、住む場所は、お金(社会の経済状態)は、政治は…
という風に、「自分の小さな利己的な幸せ」が、周囲の幸せに依存していることを、
体験しなくても直感的にわかっている、ということ。

娘に対する愛情ほどではなくても、
「娘の大事な人だから」という理由からでも、
妻や息子に対して、愛情をもって大事にする必要があるということ。

「世界平和」って頭がお花畑の人が考える空想的な夢物語じゃなくて、
本当に利己的なものなんですよ。
みんなが幸せじゃないと、自分も幸せでなんかいられないということを、
肌感覚としてわかっている、ということなんです。

この知人であった男性に
私のスピリチュアル的な部分を全否定されたっていうのもあって、
こういう書き方になっちゃったかな、とは思いますけどね(笑)

もう一人、スピリチュアル全否定の人で、
私が考える「めんどくさいマン」、
「西のサイモン・コーウェル」に対して
「東の菅野完」をあげておきますが(笑)、
森友事件の時から菅野さんのツイッターずっと見ていました。

菅野さんのツイッター何度も何度も凍結になっていて、
当該のツイートを魚拓していなかったのですが、
菅野さんも、共同体の幸せを願うのはごくごく利己的な理由からしか発生しない、
という意味のことを書いていました。
(著述家で言葉にうるさい方なので、なんか表現の間違い指摘されたらどうしよう…。
私のこんなマイナーな編み物ブログなんか読むことはないとは思うけど。。)

いや、まぁ菅野完さんがスピリチュアル全否定するのは、
安倍昭恵さんみたいな「なんちゃってスピリチュアル」とか、
カルト化する新興宗教の危険性を危惧してのことで、
それは至極真っ当であるのだけどさ、
「スピリチュアル」って本来は「人として真っ当に生きる」以外のことではないので、
安倍昭恵さんとかカルト宗教をもって「スピリチュアル」全体を否定するのは、
私にとってはちょっといただけない(笑)
稲田朋美さんだの橋本徹さんだの吉村洋文さんだのをもって
「弁護士」全体を否定するようなものでしょ(笑)
宇都宮健児さんのような「弁護士」もいて、
宇都宮さんみたいな方のほうが「弁護士」として正しいんだからさ(笑)

むしろ、私は菅野完さんのこのツイートこそが、
スピリチュアルどまんなかだと思いますよ。

2017.5.3のツイートのようです。
感動のあまりその場で魚拓したので、
日付が表示されていませんが。

菅野完さんによって森友事件が世の中の注目を集め、
安倍政権を退陣に追い込める可能性が見えてきた、というタイミングのツイートです。
わが身の危険を顧みず、世の中の幸せのために巨悪に立ち向かう正義の徒が、
スピリチュアルでなくて何なのさ。

ちょっと長くなってしまいましたね。
菅野完さんのこととか、
なんちゃってスピリチュアルのこととか、
まだまだ書きたいことはあるのですが、
菅野完さんの「めんどくさいマン」っぷりだけ書いて、
いったん終わりにしましょう。

いやね、サイモン・コーウェルに劣らず
口が悪くて大そう露悪趣味な方なんですけども、
石垣のりこ参議院議員の初質問の前日には、
直前まで地元で立ち働いていたから準備が十分ではないのではないかと
心配してオタオタし(ご当人はものともせず、のりこ節がさく裂していたようですが)、
山本太郎さんが道を誤ったと言っては泣き、
もう、なんつーか、あっちこっち痒くなってかきむしりたくなるような
ツンデレっぷり。

「めんどくさいお人やな」ってこういう時に使う言葉なんでしょうね。

2020年11月26日木曜日

おすすめの編み物道具 ②便利グッズ編

重い記事書くの疲れるので、
今日も軽めの話題を。

おすすめの編み物道具、
以前に棒針をご紹介して以来、
ずっとすっぽかしておりました。

かつ、①棒針 ときたら、
普通 ②かぎ針 じゃね?と思うところを、
横道にそれて、②便利グッズ。
すみません(笑)

ま、でもこの便利グッズ、
本当におすすめですよ。
私も編み物学校に入って先生に教えていただくまで
知らなかったもので、
これ使ってみると本当にずいぶん楽になります。

******************

便利グッズ① メモリーシート

これは、㈱日本ヴォーグ社で出している
編み物グッズの一つ。
せっかくだからヴォーグ社のサイトをご紹介したかったのですが、
実はこれもうすぐ企画変更になる製品で、
今ヴォーグ社のサイトに情報出ていませんでした。

と、言うわけで、古い型のもの(そして汚れている)ですが、
私が持っているものの写真を掲載。


何に使うものかいうと、
特に棒針作品を編むときの、段数や模様を確認するためのものです。

初心者さん向けの編み物本だと、
作品のすべての編み図が掲載されていることが多いですが、
中級以上向けの本だと、編み図は部分的にしか掲載されていません。

基本になる模様の編み図(数種類ある場合も)と、
編み始めの部分と、袖や襟ぐりなどの
特殊な操作が必要になる部分の編み図があるだけで、
「おんなじ調子で86段編んどいてね~」みたいなところは
割愛されています。

以前は何にも知らないものだから、
段数リングなんかを使ったりして
何段編んだのか数えながらやっていたのですよ。

で、ようやく袖ぐりまで編んで、
いざ本の編み図と照らし合わせると模様がずれてて、
「はぁ~っ?!?!」っとなったり。
ま、編み物あるあるですが。

どういうことかと言うと、
アランセーターみたいに、
複数の模様が編みこまれているセーターだと、
模様Aは、8段ごとに交差の作業をする、
模様Bは、6段ごとに交差の作業をする、
模様Cは、12段で…
みたいなことが指示されているわけです。
編み始めは図面が全部書かれているので、
「せーの!」で始めるのですが、
「じゃあ、同じ調子であと70段ね~」みたいに
図面が割愛されて、頼るのは自分のみになった時、
「え~と、この模様は4段前に交差したから今はやらないでよくて…」
とかなるわけですよ。
で、全部倍数の中で変化してくれりゃあまだしも
(2段・4段・8段の組み合わせとか)、
8段と6段とか、模様の組み合わせがずれてくでしょ?
実際編むしかなくて、
答え合わせが編んだ現物と本に載ってるのを
突き合わせるしかないって、
間違った時ほんとやる気なくすのよ(笑)
やる気っつうか、生きる気力をなくすレベルね(笑)

これは、そういうのに使います。
段数がふってあるところに、
自分で模様の記号を書き込んでいくと、
あらかじめ、何段目でどの模様の何の操作をするかがわかるようになります。
ウェストが絞ってあったり、袖部分のように、
「何段ごとに〇目増やす(or減らす)」みたいな操作も
あらかじめ書き込んでおけます。
このため、このシートを作ることで、
編まなくても本の図面との答え合わせができるわけです。
(もちろん本に載っているものを編むだけでなく
オリジナル作品を作る時にも、
自分で計算した模様通りに作れるわけです。)

メモリーシート上で本との答え合わせがOKだったら、
あとは何も考えず、メモリーシートに書いてある通りに編むだけ。
これやってみるとわかるのですが、
「編みながら考える」をしなくていいのはすごく楽ですよ。

この便利グッズ、
もとは編み機にデータを入れるためのシートから
生まれたものだそうです。
私は機械編みやらないので知らないのですが、
機械で自動的に編むための基礎データを、
こういう形で入力するようです。
で、「手編みの時もこれ使ったら便利じゃね?」みたいな感じで
生まれた道具だそうです。

編んでるときは、機械のように何にも考えずに編めばよい、
ということを可能にする便利グッズ。
別にひたすらメリヤス編みの場合でもあると便利ですよ。
段数リングとか使わないで何段編んだかわかるので楽です。
私は袖や裾のゴム編みの時にも使います。
昔は「正」の字書いたりしていましたが、
こっちの方が楽です。

あ、でまぁあんまり写真を載っけないで
ヴォーグ社のサイトをご紹介したかったのは、
これ仕組みがわかるとエクセルで作れちゃうでしょ(笑)
編み物学校で紹介されると「エクセルで作ろ」って
皆言うんですよ(私も言いました)。
ただ、学校だと作品作りに追われるので、
エクセルいじってる時間などなく、
「とりあえず買ってくるわ」になる(笑)
ので、「こういう便利な道具があるよ」というご紹介はするので、
少なくとも最初の1回は買っていただけると嬉しいかな。
メーカーさんの営業妨害はしたくない(笑)

*******

便利グッズ② テープ付箋 & A5クリアホルダー

まぁ2つの項目に分けても良かったんですけど。
皆さんあんまり長い文章読むの、もうお疲れかなと思って(笑)

セットでお使いいただくことをおすすめ致します。


まずテープ付箋ですが、
上記でご紹介したメモリーシートとか、
本に載っている編み図とかの、
今ここを編んでいるよ、というところを
マークするのに使います。



一段編んだら、付箋を動かします。
これ、編み物学校の先生が教えてくださったのですが、
すごい複雑な模様の編み図とか、
これをびよ~んと長く切って貼ると、
間違えずに編めます。
以前私は30㎝定規を当てたり、
一段ごとに鉛筆で線を引いて消したりしていました。

私は常に編み物道具を持ち歩いて
電車の中でも喫茶店でも座れればどこでも編んでいますが
(子育て中の知人の中には、公園で立ち編みする猛者もいます)、
編み図やメモリーシートの他に筆記具も使うのは、
結構めんどくさい。電車の中で落とすと迷惑かけるし。

テープ付箋は、自力でくっついているので落とす心配がないし、
片手でぺたっと張り直せるので、すごく楽。

で、A5版のクリアホルダーは、
メモリーシートや編み図を持ち歩く時に使います。

まぁ考え方は人それぞれだとは思いますが、
私は本の編み図であれ、自分で描いた編み図であれ、
実物は保管して、編むときはコピーを取って使います。
でもまぁ編み物本のほとんどは、開くと自立しないんで、
本をそのまま開いて編むのはあんまり実用的じゃないとは思いますけどね。
中古サイトで絶版の編み物本探していた時に、
本の中の編み図に直接印書き込んであるの見て、
「すげぇな、おい」と思いました。
必要箇所だけコピった方が扱いやすいと思いますよ、私は。
本や編み図の原本をきれいなまま保管したいかどうかは
個人の好みによるところなので、
そこは口出すところじゃないとは思いますが。

このコピった編み図なりメモリーシートなりを、
A5版のクリアホルダーに入れて、
テープ付箋で印をつけながら使うわけです。
以前は普通にA4版のクリアホルダー使っていたのですが、
場所を取りすぎるのでやめました(特に電車の中)。

今編んでいるものと、その編み図、
そして最小限の道具を、
こんな風に一つの袋にまとめて持ち歩いています。


この形だと、家でゆっくり座っている時間がない忙しい方にも、
編み物を身近に感じていただけるかもしれません。

2020年11月23日月曜日

推し!

ご無沙汰しております。

世の中があまりにも難しく、
私の内面も難しく、
文章を書けなくなっていましたが、
最近復活しました。

まぁ書きたいシリアスなことは
山ほどありますが、
今日はちょっとおちゃらけたことを。

ごく最近、強烈な「推し」ができました。
あんまりいないんですよ、私の人生で。
「推し!」と言える人が。
アイドルの追っかけができる人が
うらやましかったです、長い間。

そんな私にも、ついに手放しで
大喜びできる人ができました。

David Walliams @ BGT !!!

カタカナ表記すると
デイビッド・ウォリアムズですかね。
(ウィキペディアではデビッド・ウォリアムスですが、、、
よく聞き取れない(笑))

しばらく前にスーザン・ボイルさんが
有名になったイギリスのオーディション番組
Britain's Got Talent(BGT)というのが
あるのですが、その審査員です。
(スーザン・ボイルさんの時はいませんでしたが)

気落ちしていた時に何となく
YouTubeのBGTやアメリカ版を見始めたのですが、
世の中には本当に驚異的な才能を持った人たちが
たくさんいることにまず感動しました。
出演者の素晴らしい演技と、
感激する観衆と、
あたたかく称える審査員に、
疲れ切っていた心が癒されて高揚しました。

それで次々と動画を再生していくうちに、
「なんか、この人面白くね?」と
気になりだしたのが、デイビッド。

ぱっと見、すごく真面目そうなんですよ。
上質なスーツを端正に色っぽく着て、
髪もきっちり整えているのに、
しれっとした顔して、変なことをやってる。

メインの審査員と思われるサイモンが、
Tシャツとかセーターとか、
いわゆる「プル」系楽ちん服着て、
「ちょいワルおやじ(死語)」系セクシースタイルなのと対照的に、
あくまでも端正、あくまでも正統派。

なのに、真顔で悪ふざけ。

私乙女座なんですが、
石井ゆかりさんの乙女座評でちょっとおもしろいこと書いてありました。
曰く「乙女座には不思議な悪ノリがある」と。
だいたいにおいて乙女座はコンサバティブなんだそうですが、
にも関わらず、人がやらないような変なことを好んでやるそうな。
クリスマスのトナカイの着ぐるみ着たいとか、
乙女座男子からよく聞くそうです。

動画見てたらデイビッドしし座みたいなんですが、
なんかこの、「コンサバなのに悪ノリ」な感じ、
めっちゃ響きますね私に。

で、なんかこの「上質な服を端正に色っぽく着て、
しれっとした顔で変なことをする」人、
前にもいたような気がする、と思って
記憶の糸をたどっていたら、思い出しました、
高橋一生@政次 ですよ!!
はい、「おんな城主 直虎」の小野但馬守政次。
やってましたねぇ、一生さん、
しれっとした顔で
「足ドン」とか六左衛門の汗雑巾で拭いたりとか
(一生さんのアドリブだそうですが)。
すかした顔で小憎らしいこと言うくせに、
おとわのことを思って陰でオタオタしているのとか、
もうたまりませんでしたねぇ。

政次思い出した時点で、
あぁこれもうめっちゃ女子受けするやつじゃん!
と思いました。

でまぁデイビッドに着目して動画再生すると
すぐ気が付くと思うのですが、
デイビッドはゲイで、
サイモンにちょっかいを出している。
そういうところも政次っぽい。
ま、ウィキペディアによれば、ゲイはネタみたいで、
割と最近まで結婚していて小さいお子さんもいるようですが。

いや、世が世なら、
政次もここまではっちゃけられたのになぁ…
みたいな、不思議な感慨。
ま、一生さんはやってますけどね、変なこといつも。

一番初めに面白いと思ったのが、
Donchez Dacres さんのノリノリな曲で踊りだした時。
後ろの観客立たせて踊らせて、
自分もサイモンの前で腰を振る(しれっとした顔で)。
しまいにはズボンからシャツの裾はみ出させて
ネクタイゆるめて踊っているのを見て、
「この人そのうち昭和のサラリーマンみたいに
デコにネクタイ巻きそう…」と思いました。
と思ったら他の動画ですでにやっていたよ笑笑

デイビッドおもしろすぎ!と思っている人
たくさんいるみたいで、
まとめ動画もいっぱい出てるんだけど、
このキャラが強すぎて、
アメリカ版のGot Talentと、
イギリス版は別番組になっちゃってる気がする。
イギリス版はこれだけでお笑い番組になってる(笑)

スーザン・ボイルさんが一躍有名になった動画見てもわかるように、
サイモンってちょっとめんどくさい人。
最初のスーザンの自己紹介のところで、
「このババァどうやって黙らせてやろうかな」みたいな顔してたのが、
スーザンの歌声に愕然として表情がかわり、
うっとりと見とれる。
で評価の時に「最初からすごいと思ってた」みたいなことを
ぬけぬけと言って、スーザンからも突っ込まれる。
アメリカ版のサイモン見ても思うのだけど、
本当の芸術、本当の善、本当の人間愛みたいなものがわかるが故に、
厳しいんだろうなぁと思う。
生半可なレベルで舞台に立つのが許せないんだろうなぁと思う。
障がいや苦しみを乗り越えて素晴らしいパフォーマンスをする演者に
心から感動して泣いたり喜んだりする一方で、
自分の心の痛みに触れるような感傷的な歌には黙り込んで、
人を避けてサングラスをかけて泣いたりする(多分)。
ナイーブで、プライド高くて、口が悪くて、ハンサムで、気障で、
本当にめんどくさいタイプ(笑)。
(ちなみに昭和の少女漫画のヒロインが好きになるのも
このタイプ(笑))

このめんどくさいサイモンを、
おちょくり倒すデイビッド!!
サイモンがさっさとレッドブザー(ダメ出し)を押し、
他の審査員(美しきアリーシャとアマンダ)もダメ出ししても、
デイビッドだけはその演者のエンターテイナー性を見抜いて、
ゴールデンブザーを押して観客の喝采を受け、
「どうだサイモン、聞こえるか?この歓声が(意訳)」みたいに
勝ち誇ったりする。

デイビッドが性懲りもなく毎度毎度楽しそうにおちょくるもんだから、
やり込められて困ってるサイモンがかわいく見えてきて、
あら不思議。
美しきアリーシャとアマンダも
あり得ないくらい壊れて笑っているんだよなぁ。
スーザン・ボイルさんの時に初めて見たアマンダは、
辛辣で怖そうな美女、という印象だったのだけど。

こんなおもしろいおじさんが会社の部長席に座っていたら、
私も何度も会社辞めずに長続きしたのに…と思いました。
こんなおもしろいおじさんが上司だったら、
会社の飲み会も喜んで行きますよ、ハイ。
日本のテレビ番組にもこういう人がいれば、
テレビ見るんだけどなぁ。
BGTの会場行って、私もデイビッドコールしたいです。

ほんとここのところ気がふさいで参っていたのですが、
おもしろい人見つけて、楽しくなりました。
この番組の芸術性とか、人間愛とか、ほかの魅力的な審査員のこととか、
また改めて書いてみたいと思います。
の前に、気がふさぐ原因、日本の問題諸々について、
気がふさぐような記事、書くと思います、はい。

2020年8月8日土曜日

自然に負荷をかけないやり方

ずいぶん前に、郵便局の本局で
アルバイトをしたことがあります。
その時にすごく感動した知恵がありました。

夏の時期、外回りから帰ってきた担当者さんは、
ちょっとそっとの冷房じゃ熱をさますことが
できません。

それで冷凍のおしぼりを使ってもらっていました。

冷凍おしぼり自体もすごいなと思ったけど、
その扱い方が本当に秀逸。

段ボール箱にゴミ袋を敷いたものに、
使用済みのおしぼりを入れてもらう。
    ↓
翌朝一番にその箱ごと洗濯機にもっていき、
中身を洗濯機にあけて、スイッチオン。
    ↓
洗いあがったら、濡れたままのおしぼりを
くるくる巻いて、プラスチックカゴに詰めて
冷凍庫へ入れる。
    ↓
外回りの担当者さんたちが戻ってくる頃に
カゴごと冷凍庫から出して、
回収用の箱と並べておいておく。
    ↓
戻ってきた担当者さんがそれぞれおしぼりを
とって、顔や首を拭いたり冷したりして、
終わったら回収用段ボールへ。
    ↓
以下同じ。

無駄が一切ないし、手も汚れないし、
なんて頭がいいんだ~!!と
めっちゃ感動しました。


別な場所で働いていた時にも、
印象に残ったことがあります。

夏の時期、スタッフ用の冷蔵庫に、
2Lのペットボトルを入れている人がいます。
実用的で経済的だなと思います。

が、家で使うような冷茶ポットを持ってきて、
水出し麦茶を作っている人がいて、
すげぇ猛者がいるな、と思いました。

それを見て、結局のところ、
「昔の職場の在り方」が、
一番エコロジカルだったんだな、と思いました。

私が初めて就職をしたとき、まだ昭和の文化が
色濃く残っていて、女性は制服を着て、
お茶くみもありました。

私は女性がお茶くみをすることがよいとは
これっぽっちも思いません。
男性も女性もすればいい、と思います。

あの時代、女性蔑視だからと言って
なくなっていった仕組みの中に、
なくすべきではない大切な知恵がありました。

女性だけがお茶くみや給湯室の掃除を
しなきゃいけないことが悪いのであって、
職場で各自お茶を入れて飲んだ方が、
絶対に環境にも家計にも良いし、
美味しいものが飲める。

まだ世の中が未熟すぎて、男尊女卑の改善と、
ほかのことが全部ごっちゃになっていました。

結局女性だけがお茶当番をしなきゃならない
のを改善するにあたって、
男性もお茶当番をする、ではなくて、
ペットボトルとスタバが侵入してきました。

給湯室の掃除は、業者さんが入っているか、
心ある人がこっそりやっているか、
あるいは昔ながらに女性が当番回すかの
いずれかです。

最初に書いた郵便局のおしぼりの用意も、
アルバイトの仕事です。


給湯室を清潔に維持して、みんなが
美味しくお茶を飲める状態に整えること。
夏の麦茶くらいなら、
職場で共用のものを作っておいた方が
合理的です。

あるいは冷凍おしぼりを用意すること。

そういった仕事が「価値のないもの」と
見なされている。
それをする人は「劣っている人」と
見なされている。
そのことが本当に大間違いで大問題。

今の世の中の壊れ方を見ても、
そういう仕事こそが、
世の中を支える土台だと思います。

職場でお茶を入れられない代わりに、
お金を出してペットボトルを買い、
プラスチックごみを出さなければならない。
私たちが払わなかった代償、
大きすぎやしませんか。

ただ世の中を支える土台の仕事を、
「女のやることだ」と蔑んだために、
こんなに社会が壊れたのです。
あまりにも愚かすぎやしませんか。

男性の営業職が偉いですかね。
女性も人としての尊厳を保ちたいと思ったら
営業職で売り上げ立てないと
いけないんですかね。
そんな世の中の方がおかしいだろ、と思います。

女の仕事、価値のない仕事、とされていたものに
世の中を壊さずより良くしていく知恵が
あります。

社会がそれを理解して給料を払えばいいのです。
そして「劣っている価値のない人が」ではなく、
全員がやればいいのです。
個人が当然やるべきこととして。
トイレで手を洗う、お風呂に入ると同じレベルの
個人が当然やるべきこととして、
全員が普通にやればいいのです。

それが、世の中を壊さず、自然を壊さず、
みんなが幸せに生きていくやり方ではないかと
思います。

無印良品の店舗で水を自由にボトルに詰められる
ステーションができました。
日本は水道水がそのまま飲めるので、
水とお湯が出る給湯室的な設備が
どこでも解放されていたらいいのに、と
いつも思います。
ペットボトルの売り上げがないことより、
世の中全体の損失ははるかに少ないと思います。

2020年8月2日日曜日

人生を踊ろう

東京 市ヶ谷に、
インスティトゥト・セルバンテスという
スペインの公的機関がありまして。
スペイン語やスペイン語圏文化の
普及を目的とした文化施設です。

ちなみにあのあたり、
その手の文化施設がゴロゴロあって、
飯田橋よりにアンスティチュ・フランセ、
九段下にイタリア文化会館があります。

音大出の知人が、イタリア文化会館で開催される
声楽コンクールに連れて行ってくれたのが
最初なのですが、
有料の語学講座や文化講座はもちろんのこと、
無料のすばらしいコンサートや講演会、美術展
などのイベントもたくさん開催されています。

私はお金がない時期が長かったので、
イベント情報アプリで
こういった無料or格安イベントをチェックしては
出かけていました。

*******

前置きの説明が長くなりました。

昨年春に、インスティトゥト・セルバンテスで
スペイン・マヨルカ島出身の
おもしろい金管バンドのライブがあったんです。
サクソフォビア・ファンク・プロジェクト
Saxophobia Funk Project
サックス2名、ギター、ベース、ドラムで
誰か歌ってたかな?

で、イベント案内にも「皆さんを踊らせます!」
みたいなこと書いてあったし、
ライブ前にも、セルバンテスの館長が
スペイン語で何て言ったのか、
通訳者が何て訳したのか忘れたけど、
日本語で言うところの
「今日は無礼講です!
 皆さん踊っちゃってください!!」
にあたるあいさつをしたのですよ。

私踊る気まんまんだったんです。

ところが、曲が始まっても
みんな椅子に行儀よく座ったまま、
誰も踊る気配なし。

2曲目までは何とか耐えたんですが、
3曲目で耐えきれなくなって、
ついに座席横の通路に出て踊り始めました。
(そうそう館長が挨拶の時に、
 席に立っても通路に出てもいいとか
 言っていました。)
いや、この音楽聞いて踊らないのムリでしょ。

で、私はずっと気持ちよく踊ってたんです。
でも誰一人立ちゃしねぇ(笑)

で、プログラム最後の曲が終わって、
アンコールになってはじめて総立ち(笑)
総立ちもだけど、手拍子して足踏みして、
みんな狂ったように踊ってんじゃん!!

っていうか、みんな、
本当は踊りたかったのよね。。
踊りたくて踊りたくてしょうがないのに、
なんか、立って踊れないのよね。。
日本人としてそれすごく良く分かるんだけど
(セルバンテスのスペイン系スタッフも
 ずっと座ってたけどな)、
「アンコールなかったらどうすんねん!!」

いや、ほんと、人生もこれと同じで、
アンコール、ないかもしれないんですよ?
踊れる曲を聴きに来て、
ずっと踊りたいと思いながら我慢して座ってて、
アンコールなら踊れるだろうと思って耐えてたら
ミュージシャンが
誰も踊らないことにがっかりして
アンコールやってくれないかもしれないんだよ?
ミュージシャンがやさしくて、
アンコールまでやる気でいてくれても、
途中で地震が起こって
ライブが中止になるかもしれないんだよ?

そしたら、踊れないんだよ???

人生も同じじゃないですか?

だから館長が親切にも
「今日はブレイコーで
 席に立っても通路に出てもいいから、
 踊っちゃってください(意訳)」って
始めに言ってくれたんだよ?(笑)


受付にチラシがあって
(フライヤーっていうんですかね)
他の会場でもライブやるっていうんで、
新宿の会場に行ってみたんです。

カフェなのかクラブなのか
よくわからないところでした。
ライブ始まるまで近くにいた人と立ち話してたら、
このライブツアー企画した人がいて、
「あの時通路で一人で踊ってた子か~!!」と
えらく喜んでくれました。
(私「子」とか言ってもらえる年じゃないけど
 突っ込まないでおいた)
あとでバンドメンバーが来た時に
あの時踊ってた子だよ~と紹介してくれました。
メンバーも喜んでくれました。

で、まぁここの客は、みんな最初から最後まで
狂ったように踊ってましたよ。
これが同じ日本人&一部外国人かと思いましたよ。

なんか同年代の女性としゃべっていたら、
彼女とそのお仲間は、このプロデューサー企画の
イベントが好きでよく来るとのことでした。
その彼女もこのバンドで踊らないとかありえないと
言ってました。

*******

今でこそ、一人でも踊れるようになりましたが、
その昔は、踊りたいのに
どうしていいのかわからなくて、
ずっと壁際に突っ立っている人でした。

大学の時のクラスメイトに、
帰国子女でジャズを歌う友達がいて、
彼女のライブをよく聞きにいっていたのです。

ある時老舗のクラブで歌うというので
出かけたのです。
その大学のクラスメイトでもう一人、
六本木で黒人から「Hey, Brother!」って
声をかけられる背が高くてナイスバディな
友人がいるのですが、
その彼女が広いフロアでのびのびと自由に
踊っていて、なんとも格好良くて素敵だった。

カッコつけでもなく、異性を意識するでもなく、
本当に、自分が踊りたくて
身体が勝手に動いている。
健康的な長い手足が、
のびのびと喜んで動いている。

素敵だなぁ、かっこいいなぁと思いながら、
私は自分がとてもみっともないような気がして、
壁際で足でリズムを取るのがせいぜいでした。

だから、まぁ、セルバンテスの皆さんが、
立って踊れなかった気持ち、よくわかるんです。

でも結局、アンコールでは
みんな立って踊ってたじゃん?(笑)
誰が上手いとか、誰の手拍子がずれてたとか、
誰も考えもしなかったじゃん?
踊りたくて踊りたくてしょうがなくて、
踊れてうれしくて、
みんな壊れて踊ってたじゃん?
多分、踊りたい気持ちが1mmもない人は
あのライブ来ないと思うんだ。

私がいつから、どういうわけで、
踊れるようになったのか、覚えていません。

ただ、今その時にある、そのことを、
喜ばずにいることが
あまりにももったいなくて、
じっとしていることに耐えられなくなった
のかもしれません。

インスティトゥト・セルバンテスのライブの日、
その直前に私は恋人との別れを覚悟しました。
過去にすごく傷ついたことがあって、
長い間恋愛をすることができなくなっていたあと、
ようやく10年ぶりに恋人ができました。
でもお互い歳を取ってからの恋愛は、
いろいろな事情が重なるもので、
始まったばかりの恋だけど、私から
終わりにしようと伝えなければならないだろう、
と決意しました。
それがライブの直前でした。

どんな愛も、どんな喜びも、
今、目の前にあるその時に受け止めて、
愛し、喜ばなければ、
そうできるときは、もうないかもしれない。

歳をとって、たぶん、
そのことがわかるようになったのだと思います。

だからもし、
目の前に愛することができる人(もの)がいるのなら、
ただ、愛してほしい。
今喜ぶことができることがあるのなら、
ただ、喜んでほしい。

たぶん、そうできるときにそうしないで、
その機会を失った後悔は、
とてもつらいものだと思うから。

私は踊ることや歌うことが好きだけど、
好きなものは、人それぞれ。
自分が本来やりたいこと、やりたかったことを
思い出して、えいやっ!ってやってみたほうが、
多分、いろいろ楽しいと思う。

【追記】
すみません、「人生を踊ろう」って
あくまでも比喩なので、
コロナ収束するまで
ライブやクラブで思いっきり踊ろう、は
ご遠慮ください。
名古屋のクラブでクラスター発生とか
ツイッター流れてましたね。。