2021年1月31日日曜日

すげぇなオタマトーン

日本は日々難しい状況が続いていて、気がふさぐ毎日ですが、
先日ネット上ではちょっとおもしろいことがありましたね。

ご存知の方も多いかと思いますが、
ゴット・タレント(Got Talent)のスペイン版、
明和電機さんのオタマトーンで
プッチーニの『誰も寝てはならぬ(Nessun dorma)』を
演奏した動画がアップされていました。

オタマトーンっておもちゃじゃなかったっけ?と思っていたのですが、
すげー本当にオペラ歌手が歌っているような演奏でびっくり。

スペイン版ゴット・タレント

日本語訳つき 【ジェフの翻訳チャンネル】

元気が出ない時に何回となく見ています(笑)

内容については、すでにいろんな方がいろんな場所でおもしろいコメントされてると思うので割愛しますが、私が個人的にツボった場面だけ、ご紹介させていただこうかな。

審査員で、サイモン・コーウェルに当たるリスト・メジデ(スペイン語の発音だとメヒデ)さんに詰め寄るほかの審査員二人。



なんですかねぇ、この絵に描いたような美男美女が
腕組みして「どうよ」「どうなの」っつー煽り顔してる絵面(笑)

なんか映画の1シーンか盛りすぎのコマーシャルみたい。
トムとジェリーとかでもこんな絵面見たことあるような気がする。

っていうか、欧米人ってリアルでこういう顔(と仕草)するんですね(笑)
日本だと「マンガの中にしかないリアクション」ってあるじゃないですか。
「てへぺろ」とか「ズッコケる」とか(『日本人の知らない日本語』, 著:蛇蔵&海野凪子, KADOKAWA, 2009 が初出だと認識しています。違ったらごめんなさい)。

あと、この気難し屋リスト・メジデ氏が舞台でオタマトーンを試す場面。
司会者が大仰に「マエストロ、どうぞ(Adelante, maestro.)」と言っています。
オペラとかクラシック音楽好きな人はこの言い回し聞くことあるかと思いますが、
普通、指揮者とか大家が登場する場面です。
それに続く絵面がこれ。


いや、まぁ、オタマトーンでNessun dormaっつーのがそもそもシュールすぎるので、
その後にどんなシュールな場面が続こうと、
もはやどーでもいいっつう域ではありますけどね。

っていうか、オタマトーンの演奏で感動のあまり涙が止まらないとか、
ティッシュ俺にもちょーだいとか、それはラテンの魂が成せるものなの?
私だったら椅子から転げ落ちて笑う以外のリアクションはありえないんだけど。
それかドン引き。「え、オタマトーン???…すげー」みたいな。
なんでスタンディングオベーションになってるの???

ただ、私は外国の人が「日本人おかしい」とか言うの、
だいたいはこういうパターンで、
日本ではおもちゃであるオタマトーンでオペラの名曲とか演奏してくれちゃって、
騒ぎを大きくして「ほら、日本人おかしい」みたいなことしてるの、
あんたたち外国人じゃね?と思っていたんだけど、
オタマトーンつながりの動画がぞろぞろ出てきて、
日本にもなんかすごいガチオタマ勢がいることを知りました。
以下私が気に入ったもの↓




プロのバイオリニストの方何人かいらっしゃいました。
音大生でオタマトーン用の曲作曲した方とかもいました。
オタマの音色に合った良い曲でした。
あと、オペラに合うだけあって演歌にも合いますね、オタマの音は。

日本のガチオタマ勢の皆様は、オタマトーンを三味線の角度で持つ方が多いですね。
オタマの「歌ってる感」が出るのは、スペイン版みたいに縦持ちですが。

ちょっとね、オタマトーン買っちゃおうかなみたいな気持ちになっていたのですが、
このガチオタマ勢の皆様の演奏を見て、
「私に入れる世界じゃない」と思ってやめました(笑)

2021年1月11日月曜日

解脱とか、終わりなき競争とか

 朝日新聞の1月8日(金)朝刊、鷲田清一氏による『折々のことば』、
台湾の若きIT大臣、オードリー・タン氏の言葉が紹介されていました。

以下、紙面より引用。


ルートが固定されているから、勝者と敗者が存在するんです。
オードリー・タン

学校ではみな同じコースで競争させられるが、実際の社会ではそんな勝ち負けで各人の能力が判定されるわけではない ~(中略)~
「命の赴く方向」は人それぞれ。人は私を「天才」と呼ぶが、それは同じ一つの判定基準という幻想から人より先に醒めたということにすぎないと。

 

出典は、アイリス・チュウ/鄭仲嵐の『AU オードリー・タン 天才IT相7つの顔』とのこと。

 いや、仏陀の御言葉ですかね。
『人は私を「天才」と呼ぶが、それは同じ一つの判定基準という幻想から人より先に醒めたということにすぎない』とか。
目覚めし者ですわ。

宮本武蔵も自身の剣の奥義について、これは誰にでもできることである、と書いていると読んだことがあるのですが、これは出典確認してないのでちょっと置いておくにしても、
先のオードリー・タン氏の言葉には、あ~やっぱりそうなんだなぁ~という感慨を抱きました。

オードリー・タン氏の本買いたいけど、まだデカくて高いだろうなぁ(笑)
私は文庫になってから買いたい派なんで(本棚常にいっぱい)。


一方、昨年私が衝動買いした本で、すげぇなこの本、と思ったのが、
『あやうく一生懸命生きるところだった』
 文・イラスト:ハ・ワン 訳:岡崎暢子,ダイヤモンド社,2020年

以下引用(P.9)


頑張って!(ハイハイ、いつも頑張っていますよ)
ベストを尽くせ!(すでにベストなんですが……)
我慢しろ!(ずっと我慢してきましたけど……)

  (中略)

幸せになるどころか、どんどん不幸になっている気がするのは気のせいだろうか?


なんか身に覚えがありすぎますね(笑)

すごいなと思うのは、この著者がそう感じて自分からドロップアウトしたこと。
私もず~っとがんばれがんばれでがんばってきたけど、うつ病になって倒れるとかで、
主体的にドロップアウトできたためしがなかったなぁ。

この本によれば、韓国では2000年頃から、「お金持ちになってください」という言葉があいさつ代わりに使われるほど、みんなが「頑張ればお金持ちになれる」と思ってそれを目指しているのだとか。

景気が低迷というか下降線の一途をたどって30年の日本とは違い、韓国はどんどん景気がよくなって、活気にあふれているんだなぁといううらやましい気持ちと、
一方で、お金持ちを目指して熾烈な競争にまい進することのゆがみを感じていた、かつての私自身の記憶とがないまぜになって、複雑な気持ちになりました。

昨年メルカリで、すごくきれいなカッティングのシンプルな水着が出ていましてね、
ずいぶんお安かったので購入したんです。
イタリアのブランドで、最高級品ってわけじゃないけど、カッティングの美しさとか、バストを美しく見せるパッドの仕込み方とか、さすがだなぁと思ったのです。
未使用品で韓国語のタグがついていましてね、気に入ったので検索してみたら、
日本ではバッグの販売しかしていない。
でも韓国では水着含めアパレルも販売しているということなのでしょう。
それだけの購買力が韓国にはありるけど、日本では売れない、ということです。
ネトウヨの人たちとか、ずいぶん変な思い違いをしている日本人はいるけど、
このくらい経済規模が離れちゃっているんだなぁと思いました。

ただ、なんというか、かつて日本にもこんな時期があり、その時の雰囲気ってちょっと覚えているんですよ。

どこのCMだか忘れちゃいましたが、メールに動画を添付して送れる携帯かPCかなんかのCMだったと思うのです。
ママ友から、赤ちゃんが立った瞬間の動画が送られてきたのを見て、
「うちの子だって~!」と言って赤ちゃんが立ちあがった動画を撮って送り返す、
というのがありました。
機能が進化したことはいいし、赤ちゃんも可愛いけどさ、
最新の機器だけじゃなく、子供の成長まで、競争の道具にされること、
それをさも当たり前、みんながそうしている、みんながそれを望んでいることとして、
テレビで放送される気持ち悪さ。
このCMによってこの機器の売り上げが上がると考える売り手と、
このCMを見て買う購買側。
どっちも気持ち悪くないですかね。
ま、その後延々、お受験だの就職だの縁談だの出世だのマイホームだのと続くわけですよ、終わりなき競争が。

近年見て気持ちわりぃと思ったCMは、どこのだか忘れましたが、
なんかハイソな夫婦が娘さん連れて歩いていて、母親が「今夜何食べたい?」と聞くと、
娘さんが「マルゲリーター!!」と答えるというもの。
さすがに笑っちゃいましたよ。
マルゲリータとか、チーズとバジルとトマトソースしか載ってないピザ、
大人が食べたって物足りないのに、育ち盛りの子供が夕飯に食べたがるかっつーの!
イタリア人みたいにピザの他にメインになる肉料理も食べるならマルゲリータでいいだろうけど、日本人そういう食べかたしないじゃん(笑)
マルゲリータしか食わんじゃん。
ピザだのパスタだのって、炊き込みご飯相当で、子供が食べたがるメインって別だよね。
でも、「ハンバーグ!」とか「から揚げ!」とかありきたりなこと言わない(間違っても「サンマ!」とか言わない)、こじゃれたイタリアンを食べたいという子供がいる、
普段からオサレな生活をしているハイソな私達、を目指している人たちを狙ったCMなんだろうなぁと思いました。

まぁ切りがないですわ、こういうの。

で、子供は親の期待に応えようとして一生懸命頑張って、燃え尽きて、どこかの段階で倒れる、という一連のコースをたどった日本の社会と、
景気が良くて前向きで、希望があるのは素敵だけど、なんかかつての日本と同じ兆候が見えなくもない今の韓国と、なんともモヤモヤした気持ちになりました。
まぁできたらかつての日本の轍は踏んでほしくないし、うまいやり方を見つけて、うまく行ってほしいなぁと思います。

で、この本の著者ハ・ワンさんは、「もう無理!」とこの終わりなき競争から降りた人。
全編ゆる~くて(イラストも)、ダメダメ感にあふれているのだけど、
「みんな一体、何に向かって頑張っているのさ?」と見抜いて、
「じゃあほかにどんな生き方があるんだろう?」と自分で見出そうとしているすごい人
(でもがんばらない)。

中でもすごいなと思ったのが、
『「仕組まれた欲求」に惑わされるな』の項。
男性向けの雑誌を読んでいるとなんかモヤモヤすることについての考察。
以下引用。


ガチガチに決めたくない日の、無造作に羽織れるブラックカーディガン
120万ウォン(約12万円)

ああ、僕は翻弄されている。100万ウォン以上するカーディガンを、本当に無造作に羽織れるというのか?
その前に、カーディガンに100万ウォンも出すやつがいるって本当か?
(P.248)


そうだ、雑誌の目的は読者に挫折感を与えることだ。
そしてその挫折感の正体は、高度に計算されたマーケティング戦略である。
多くの人がブランド品への欲望を抱く理由は、簡単に購入できないからだ。そんな挫折感がブランド品の価値を高める。
挫折感は、みなの欲望をいっそう煽り、ようやくそれを買えた人たちは、挫折感から抜け出せた喜びを享受する。と同時に、まだ入手できていない人たちにまた別の挫折感を抱かせ、持てるものはほんの一瞬の優越感を味わう。
しかし、そんな喜びもすぐに消えてしまう。挫折感は休みなく降りそそぐからだ。
金持ちにだって”挫折マーケティング”は有効だ。彼らにとって大切なのは、自分の挫折ではない。他人の挫折だ。高価すぎて誰も買えないという事実だけでも、彼らは財布を開く。
ある学者もこう言っていた。富の真の目的は「誇示」だと。
(p.250)

 
この作られた競争に気付き、降りること。

今私が気になっているのは、
この『挫折マーケティング』、要するに優越感中毒なんだけどさ、
多くの人にとって経済的に豊かになるのが難しいと感じられる今の日本では、
ネット上のマウンティング競争になっているように感じるんだよね。
特にネトウヨというか、自民公明維新支持者、PCR抑制論者、アンチフェミ、レイシストのツイートって、支離滅裂なんだけど、とにかくその場で相手を黙らせて「自分が勝った」と感じられさえすればいい、という印象を受けます。
すべての人の健康とか、尊厳をもった生活とか、科学も文化も経済も含めた全体的な発展とか、公正さとか正義とか倫理とかもぜ~んぶぜ~んぶ投げ捨てて、
今この一瞬、相手を黙らせて自分が勝ったと感じられればいい、その1点だけ。

それはただの中毒なので、一瞬の快感以外に、誰も幸せになりません。
正直言って国を滅ぼします。

ちょっと話が重くなりました。
大事なことなので、また違うタイトルで書きたいと思いますが。

で、この本、著者ハ・ワンさんのダメダメ感あふれる文章もイラストも秀逸なのですが、
翻訳がすごい!
日本語翻訳 岡崎暢子さんですが、この方はきっと本当に韓国が好きで、韓国語も大好きなんでしょうねぇ。
そして、日本語の語学力が本当に素晴らしい。
こんなに素晴らしい翻訳、久しぶりに読みました。
原著がどんなに良くても、翻訳だめだと全部だめになります。
ここ数年、そういう本が無駄に量産されていて、新刊本を読むことに疲れ切っていました。
翻訳についてもいろいろ書きたかったのですが、もうだいぶ長くなっちゃったので、
翻訳や日本語の取り扱いについては、また改めて書きたいと思います。

2021年1月9日土曜日

虹色モヘアのプルオーバー【商品のご案内】

先日、オンラインショップを開設致しました。
何分私が一人で細々と作ったものをアップしているだけなので、
今後も、「豊富な商品展開!」になることは
決してないだろうと思われますが、
お気に召したものがありましたら、
ご縁をいただければ幸いです。

というわけで、商品のご案内といいますか、
作った側の勝手な思い入れを
語らせていただきます。


【虹色モヘアのプルオーバー】


優しいパステルカラーのグラデーションと
ふわふわのモヘアの質感を生かすよう、
シンプルで愛らしい模様で編みました。


これ実は、編み物学校の課題で、
フレンチスリーブのプルオーバーとして作ったものの
アレンジです。

グラデーションカラーのモヘア糸と、地になる糸を
引きそろえて編んでいます。

当時、学校で課題作りのための試し編みをしていたところ、
担任の先生が「夢々しいもの編んでるね!」と感嘆符つきで仰いました。
その後にももう1回言われたので、
その先生にとっては本当に「夢々しい」ものなんだろうな、と
妙な感慨を受けました。

まぁ「夢々しい(ゆめゆめしい)」などという形容詞自体
初めて聞きましたが。

出来上がったフレンチスリーブ・プルを見ていただいたときも、
「邪気がない。。私は邪気にまみれているけど、
(このニットには)邪気がない。」と言われました(笑)
いや、私も邪気にまみれてますけどね。
この歳まで生きていればいろいろありますんでね(笑)

*******

で、私はこの虹色のグラデーション糸大そう気に入りまして、
こうやって作品に仕上げて販売する以外にも、
引きそろえ用の地糸やオリジナルの編み図と合わせて、
オリジナルキットの販売もしようかなぁなんて考えていたのです。

色糸と地糸、私はこの組み合わせがベストだと思っているのですが、
それぞれ違うメーカーの製品です。

まぁこういう複数のメーカーを跨いだ作品だのキットだのっていうのは、
メーカーの依頼で作品を作る一流のプロの先生方は逆にやりにくくて、
私のような一介の編み物好きの方が、自分の裁量で商品化できるわけです。

とかなんとか思っていて、昨年ようやく時間ができたので、
取引をいただいている問屋さんに糸注文したら、
グラデーション糸のこの色番は、廃番になっていました。

うひょ~と思って慌てて知っている範囲で探したところ、
某手芸屋さんだけ少~し残っていたので、全部買い占めました
ま、あくまで「私の知っている範囲」なので、
どっかからどっさり出てくるかもしれませんが。
(メーカーさんにはないみたいですね、問屋さんの感じだと。)

某手芸屋さんで対応してくださった店員さんも、
「(このシリーズの中で)これが一番かわいい色なのに、
 なんでこの色が廃番になるんでしょうね」って仰っていました。
「ほかのどす黒い色(!)残ってるのに」とも(笑)
私もそう思いますよ。

しばらく前から、いろんな場所でこの色だけ品薄だな~とは思っていて、
「かわいくて人気だから、在庫足りなくなってるのかな」くらいに思ってました。

私がレストランとかで編んでいると(いつも独り飯なので)、
フレンドリーな店員さんは「すっごくかわいい色ですね」って話しかけてくださいます
(タイ料理、創作フレンチ、創作お番菜とかオールジャンルですわ(笑))。
こんなにいろんな人が「かわいい」って言ってくれるものが、なんで廃番になるん???
オトナの事情は私にはわかりません。

ま、ともかく、昨年買い占めた分と、もともと少~し持っていた分と合わせて、
あと数着分あるので、帽子とかマフラーとか小物がいいのか、
プルオーバーがいいのか、様子を見ながら大切に作っていきたいと思います。

*******

学校の課題作品からアレンジするにあたって、
肩やダーツなどの調整を入れて、
着心地やフィット感を向上させています。

いつものように(笑)、
トルソーにズボン履かせるのが難しいんでスカートと合わせていますが、
これもプルのテイストが甘いので、白いズボンの方が合います。

現在、フレンチスリーブのバージョンも仕上げ中で、
こちらも近日中にアップしたいと思います。
(フレンチスリーブ版も調整入っています。)

2021年1月1日金曜日

明けましておめでとうございます

明けましておめでとうございます。

みんなが生きて行く、
みんなで生きて行く社会のために、
ひとつひとつのことをやっていこう、と、
今、改めて思います。

ひとりひとりの人が、
大切にされる社会にするために。

間違っているものには間違っていると言う。
そして、大きく報道されることがなくても、
正しいことをコツコツとやっている人を見出して、
自分も少しでもそのようにあれるように
努めていきたいと思います。

みなさまの健康と安全をお祈りし、
新年のご挨拶とさせていただきます。

*******

オンラインショップを開設いたしました。
ブログ同様、細々と続けていきたいと思っております。
ご縁をいただけましたら幸いです。


2020年12月13日日曜日

水やりさん

 NHKの5分くらいのミニ番組で、
「もういちど、日本」というのがあります。
「新日本風土記」という番組の関連番組なんですが、
日本各地の、いろいろな風土や生活様式なんかを、
紹介しているものです。

私はこの番組が大好きで、
一人暮らしをしていた時に、自動で録画しておいて、
洗濯物たたむ時なんかにちょこちょこ観ていました。

で、観たらすぐ消しちゃっていたので録画残っておらず、
NHKのサイトで少し調べても見つけ損ねたのですが、
すごく心に残っているエピソードがあります。

どこか山間の集落で、外に対しても開かれておらず、
人口も日照も水源も、いろいろ制限があるような土地で、
今も、「水やりさん」という役割の人がいる、というお話でした。

この集落では、川から水を引いてきて
水田や畑を作ることを生業としているわけですが、
その水が、すべての家に平等にいきわたるように、
用水路の弁なんかを使って水の流れを調整するのが、
水やりさんの仕事です。

水やりさんは、「水が平等にいきわたっているかどうか」を確認するために、
日々、田んぼや畑を見て回って、水不足で育ちが悪いところがあれば、
そこに水が多く流れるように調整をします。

この水やりさんは、集落の信頼で任命されているとのことで、
この信頼を裏切ることがないよう、責任をもって仕事をしています。

これね、これこそが「政治」の原点だと、私は思います。

山間の集落で、外部との交流も少なく、
この集落という共同体だけが生命の場である、
という状況だったのだろうと思います。

その閉鎖的な空間で、過去に何かがあったのか、
あるいは、もともと賢く心優しい人々の多い地域だったのかは
わかりませんが、
どこかの段階で、力が強く、川の近くに住んでいる人だけが
豊かさを享受できる仕組みでは、
共同体が崩壊する、ということを理解したのでしょう。

洋の東西を問わず、過去の物語を読んでみると、
お金持ちと貧乏人がいる未熟な共同体で、
多くの悲劇が生じています。
お金持ちの家に生まれた若者が、貧しい家の娘に恋をした
(逆もまたしかり)、とか。

川の近くに住んでいる有力者だけが豊かでも、
他の弱者がどんどん倒れて行けば、
その共同体は衰退していきます。
金持ちの家1軒だけが残ったって、
配偶者が生まれる家がなくなれば一代で終わりだよねって話です。

長く続いている愚劣を極めた自民党政権の、
現総理である菅さんは、
「自助」とか言ってくれちゃってますけどね、
「自助」ってのは、この水やりさんが平等に各家に水を流してくれた後、
自分で畑や水田で作物を作ることを言うんです。
いくら水やりさんが水流してくれても、
理由もなく(体調とか家の事情とか)農作業サボったなら、
自分でもっとがんばらないとって話にもなるだろうけど、
そもそも金持ちの家が水源独占して、
農業に必要な水が足りなかったら、がんばっても作物出来ないでしょう。
それは「貧乏な人は自助が足りない」って話じゃないですよ。
ネットでよく言われる「自己責任」ですらないですよ。

付け足すなら、水が十分流れてきていても、
農作業ができない状態だった場合、
隣近所の人たちが、どうしたのか、病気なのかなんか事情があるのか、と
助け船を出すのが「共助」だと思いますよ。

言うまでもないことですが、
現在の社会での水は、お金です。
自助しようにも、生活して働くための最低限のお金がいきわたっていなければ、
どんだけ働いたって生活できませんよ。
人間は生き物なのだから、
なんかのはずみで病気になったり、
事故に合ってケガしたりすることはあるでしょう。
でも自転車操業で毎日ぎりぎりの生活しかできない状況だったら、
そういう時、崩壊するでしょ当たり前に。

私はこの人生でお金持ちだったためしがないので、
10年周期くらいで(笑)、
経済とかお金持ちマインド的なもの勉強したくなる時が来るんですけど(笑)
前回その周期が来た時に、何かで紹介されて
和田裕美さんの『幸せなお金持ちになる すごいお金。』という本を
読みましてね。
図書館で借りて読んだので、手元にないのですが、
ちょっとおもしろい表現があったのが印象に残っています。

この著者がお金持ちになる前に
ある世界的な大金持ちの方と仕事で接する機会があり、
その人から「お金持ちというもの」のエッセンスを学んだようです。
その大金持ちの方は代々お金持ちで、
本人はお金に執着がなく、着ているものとかもどうでもいいようです。
で、和田さんの観察眼なのですかね、
代々お金持ちで、いつもお金の流れの近くにて、
そのお金の流れを自分のところに引き込む術を知っている家系、
というような表現をされていましてね。

先の水やりさんの番組観たのと、
この本読んだのとどっちが先だったか忘れましたが、
あ~、同じ話の、同じ表現だなぁと思ったのです。
まぁ世界的な大金持ち、というのは、
共同体としての世界が大きすぎて、
全体のことが目に入らないんだろうなぁと思います。
で、水やりさんという仕組みを作った集落は、
共同体としては小さすぎるので、
1軒の家が水を独占したらどういう悲劇が起こるかを、
体験から学んでしまったのだろうなぁと思います。

和田さんの本だけ読むとね、
確かにお金の流れを動かす術を知っていて、
代々大金持ちで、
自分もお金に執着を持ったことがない(だから安物の服着ていても平気)、
みたいな生き方、ちょっと素敵かも、みたいな気持ちになりますけどね(笑)

お金持ちの家系に生まれた本人に悪意はなくても、
少なくとも、水やりさんの仕組みを作って現代まで維持した集落の方たちより、
はるかに未熟な精神性なんだなぁと感じます。
それは、このお金持ちの方だけでなく、
今の新自由主義全盛の世の中すべてに言えることですが。


以下の話は、直接お金に関することではありませんが、
共同体というものについて、
知人の行動から私が感じたことを一つ、お話ししたいと思います。

知人で一人、
小学生の娘さんを溺愛している男性がいましてね。
娘さんの弟にあたる息子さんもいるのですが、
息子さんとはあんまりご縁が深くないのか、
娘さんほどの愛情は抱いていない感じの人がいました。

すごく忙しくしている人なので、
家族に対しても十分に気を配ることができない部分もあるのかな、
とは思っていたのですが、
娘さんだけを連れて旅行に行ったりしていたのです。

で、複数の理由はあったのでしょうが
(奥さんに対してもかなりやらかしているのを、
数年前から感じていました)、
結局彼の家庭は壊れました。

彼が奥さんに追い出される形で、
単身で別居になったところまでは見ていました。
(その人は私に対しても相当やらかしたので、
私も関係性が途切れました。)
もう数年前のことなので、その後はわかりませんが。

私は彼の奥さんとは会ったこともないけど、
彼の言動から、いくつかのことは感じるところがありました。

彼は「無条件の愛」という表現をするほど娘さんを愛していて、
娘さんと自分の楽しく幸せな時間のことしか考えられなかった。

でも、奥さんからしてみれば、
娘さんも息子さんも、同じ大切な子供。
その息子さんから「どうしてお姉ちゃんだけお父さんと旅行に行けて、
僕は連れて行ってもらえないの?」と問われたら、
母親である奥さんは、どうしたらいいのでしょうね。

これが、「えこひいき」をしていはいけない理由ですよ。
愛しているのが娘だけであっても、
息子は娘の弟であり、妻は娘の母親です。
弟も、母親も、娘にとっては大切で必要な、愛する家族です。
たとえ、息子が娘ほどかわいくない、
妻への気持ちも冷めてしまった状態であったとしても、
娘にとって、父親だけでなく、母親も弟も幸せでなければ、
幸せではない。
それだけのことがわからなかった。

自分と娘との幸せな時間を維持するためにも、
娘の大切で必要な人である母親と弟も幸せでなければならない。
母親と弟が不幸であれば、娘との関係が引き裂かれるということが、
理解できなかった。

で、私は子供の頃から演劇をやっていて、
憑依型の役者だったので、
体験的にスピリチュアルにならざるを得なかったのですが、
スピリチュアル系の人が「世界平和」みたいなことを言うのって
(まぁ、なんちゃってスピリチュアルが山ほどいるのでアレですけどもね)、
別に頭の中がお花畑だからじゃなくて、
こういうのを体験せずとも理解しているからなんです。

自分と愛する人(もの)との「一番利己的で一番小さな幸せ」でさえ、
自分とその人(もの)以外とつながっていて、
そのつながっている先も幸せでないと、
維持できないんですよ。

彼の話で言えば、彼の望みは自分と娘の幸せだけなんだけど、
そのためには、最低限、娘の母親と弟も幸せでないといけない、みたいな。

で、母親と弟もまたそれぞれのつながりがあって、
じゃぁ食べるものは、住む場所は、お金(社会の経済状態)は、政治は…
という風に、「自分の小さな利己的な幸せ」が、周囲の幸せに依存していることを、
体験しなくても直感的にわかっている、ということ。

娘に対する愛情ほどではなくても、
「娘の大事な人だから」という理由からでも、
妻や息子に対して、愛情をもって大事にする必要があるということ。

「世界平和」って頭がお花畑の人が考える空想的な夢物語じゃなくて、
本当に利己的なものなんですよ。
みんなが幸せじゃないと、自分も幸せでなんかいられないということを、
肌感覚としてわかっている、ということなんです。

この知人であった男性に
私のスピリチュアル的な部分を全否定されたっていうのもあって、
こういう書き方になっちゃったかな、とは思いますけどね(笑)

もう一人、スピリチュアル全否定の人で、
私が考える「めんどくさいマン」、
「西のサイモン・コーウェル」に対して
「東の菅野完」をあげておきますが(笑)、
森友事件の時から菅野さんのツイッターずっと見ていました。

菅野さんのツイッター何度も何度も凍結になっていて、
当該のツイートを魚拓していなかったのですが、
菅野さんも、共同体の幸せを願うのはごくごく利己的な理由からしか発生しない、
という意味のことを書いていました。
(著述家で言葉にうるさい方なので、なんか表現の間違い指摘されたらどうしよう…。
私のこんなマイナーな編み物ブログなんか読むことはないとは思うけど。。)

いや、まぁ菅野完さんがスピリチュアル全否定するのは、
安倍昭恵さんみたいな「なんちゃってスピリチュアル」とか、
カルト化する新興宗教の危険性を危惧してのことで、
それは至極真っ当であるのだけどさ、
「スピリチュアル」って本来は「人として真っ当に生きる」以外のことではないので、
安倍昭恵さんとかカルト宗教をもって「スピリチュアル」全体を否定するのは、
私にとってはちょっといただけない(笑)
稲田朋美さんだの橋本徹さんだの吉村洋文さんだのをもって
「弁護士」全体を否定するようなものでしょ(笑)
宇都宮健児さんのような「弁護士」もいて、
宇都宮さんみたいな方のほうが「弁護士」として正しいんだからさ(笑)

むしろ、私は菅野完さんのこのツイートこそが、
スピリチュアルどまんなかだと思いますよ。

2017.5.3のツイートのようです。
感動のあまりその場で魚拓したので、
日付が表示されていませんが。

菅野完さんによって森友事件が世の中の注目を集め、
安倍政権を退陣に追い込める可能性が見えてきた、というタイミングのツイートです。
わが身の危険を顧みず、世の中の幸せのために巨悪に立ち向かう正義の徒が、
スピリチュアルでなくて何なのさ。

ちょっと長くなってしまいましたね。
菅野完さんのこととか、
なんちゃってスピリチュアルのこととか、
まだまだ書きたいことはあるのですが、
菅野完さんの「めんどくさいマン」っぷりだけ書いて、
いったん終わりにしましょう。

いやね、サイモン・コーウェルに劣らず
口が悪くて大そう露悪趣味な方なんですけども、
石垣のりこ参議院議員の初質問の前日には、
直前まで地元で立ち働いていたから準備が十分ではないのではないかと
心配してオタオタし(ご当人はものともせず、のりこ節がさく裂していたようですが)、
山本太郎さんが道を誤ったと言っては泣き、
もう、なんつーか、あっちこっち痒くなってかきむしりたくなるような
ツンデレっぷり。

「めんどくさいお人やな」ってこういう時に使う言葉なんでしょうね。

2020年11月26日木曜日

おすすめの編み物道具 ②便利グッズ編

重い記事書くの疲れるので、
今日も軽めの話題を。

おすすめの編み物道具、
以前に棒針をご紹介して以来、
ずっとすっぽかしておりました。

かつ、①棒針 ときたら、
普通 ②かぎ針 じゃね?と思うところを、
横道にそれて、②便利グッズ。
すみません(笑)

ま、でもこの便利グッズ、
本当におすすめですよ。
私も編み物学校に入って先生に教えていただくまで
知らなかったもので、
これ使ってみると本当にずいぶん楽になります。

******************

便利グッズ① メモリーシート

これは、㈱日本ヴォーグ社で出している
編み物グッズの一つ。
せっかくだからヴォーグ社のサイトをご紹介したかったのですが、
実はこれもうすぐ企画変更になる製品で、
今ヴォーグ社のサイトに情報出ていませんでした。

と、言うわけで、古い型のもの(そして汚れている)ですが、
私が持っているものの写真を掲載。


何に使うものかいうと、
特に棒針作品を編むときの、段数や模様を確認するためのものです。

初心者さん向けの編み物本だと、
作品のすべての編み図が掲載されていることが多いですが、
中級以上向けの本だと、編み図は部分的にしか掲載されていません。

基本になる模様の編み図(数種類ある場合も)と、
編み始めの部分と、袖や襟ぐりなどの
特殊な操作が必要になる部分の編み図があるだけで、
「おんなじ調子で86段編んどいてね~」みたいなところは
割愛されています。

以前は何にも知らないものだから、
段数リングなんかを使ったりして
何段編んだのか数えながらやっていたのですよ。

で、ようやく袖ぐりまで編んで、
いざ本の編み図と照らし合わせると模様がずれてて、
「はぁ~っ?!?!」っとなったり。
ま、編み物あるあるですが。

どういうことかと言うと、
アランセーターみたいに、
複数の模様が編みこまれているセーターだと、
模様Aは、8段ごとに交差の作業をする、
模様Bは、6段ごとに交差の作業をする、
模様Cは、12段で…
みたいなことが指示されているわけです。
編み始めは図面が全部書かれているので、
「せーの!」で始めるのですが、
「じゃあ、同じ調子であと70段ね~」みたいに
図面が割愛されて、頼るのは自分のみになった時、
「え~と、この模様は4段前に交差したから今はやらないでよくて…」
とかなるわけですよ。
で、全部倍数の中で変化してくれりゃあまだしも
(2段・4段・8段の組み合わせとか)、
8段と6段とか、模様の組み合わせがずれてくでしょ?
実際編むしかなくて、
答え合わせが編んだ現物と本に載ってるのを
突き合わせるしかないって、
間違った時ほんとやる気なくすのよ(笑)
やる気っつうか、生きる気力をなくすレベルね(笑)

これは、そういうのに使います。
段数がふってあるところに、
自分で模様の記号を書き込んでいくと、
あらかじめ、何段目でどの模様の何の操作をするかがわかるようになります。
ウェストが絞ってあったり、袖部分のように、
「何段ごとに〇目増やす(or減らす)」みたいな操作も
あらかじめ書き込んでおけます。
このため、このシートを作ることで、
編まなくても本の図面との答え合わせができるわけです。
(もちろん本に載っているものを編むだけでなく
オリジナル作品を作る時にも、
自分で計算した模様通りに作れるわけです。)

メモリーシート上で本との答え合わせがOKだったら、
あとは何も考えず、メモリーシートに書いてある通りに編むだけ。
これやってみるとわかるのですが、
「編みながら考える」をしなくていいのはすごく楽ですよ。

この便利グッズ、
もとは編み機にデータを入れるためのシートから
生まれたものだそうです。
私は機械編みやらないので知らないのですが、
機械で自動的に編むための基礎データを、
こういう形で入力するようです。
で、「手編みの時もこれ使ったら便利じゃね?」みたいな感じで
生まれた道具だそうです。

編んでるときは、機械のように何にも考えずに編めばよい、
ということを可能にする便利グッズ。
別にひたすらメリヤス編みの場合でもあると便利ですよ。
段数リングとか使わないで何段編んだかわかるので楽です。
私は袖や裾のゴム編みの時にも使います。
昔は「正」の字書いたりしていましたが、
こっちの方が楽です。

あ、でまぁあんまり写真を載っけないで
ヴォーグ社のサイトをご紹介したかったのは、
これ仕組みがわかるとエクセルで作れちゃうでしょ(笑)
編み物学校で紹介されると「エクセルで作ろ」って
皆言うんですよ(私も言いました)。
ただ、学校だと作品作りに追われるので、
エクセルいじってる時間などなく、
「とりあえず買ってくるわ」になる(笑)
ので、「こういう便利な道具があるよ」というご紹介はするので、
少なくとも最初の1回は買っていただけると嬉しいかな。
メーカーさんの営業妨害はしたくない(笑)

*******

便利グッズ② テープ付箋 & A5クリアホルダー

まぁ2つの項目に分けても良かったんですけど。
皆さんあんまり長い文章読むの、もうお疲れかなと思って(笑)

セットでお使いいただくことをおすすめ致します。


まずテープ付箋ですが、
上記でご紹介したメモリーシートとか、
本に載っている編み図とかの、
今ここを編んでいるよ、というところを
マークするのに使います。



一段編んだら、付箋を動かします。
これ、編み物学校の先生が教えてくださったのですが、
すごい複雑な模様の編み図とか、
これをびよ~んと長く切って貼ると、
間違えずに編めます。
以前私は30㎝定規を当てたり、
一段ごとに鉛筆で線を引いて消したりしていました。

私は常に編み物道具を持ち歩いて
電車の中でも喫茶店でも座れればどこでも編んでいますが
(子育て中の知人の中には、公園で立ち編みする猛者もいます)、
編み図やメモリーシートの他に筆記具も使うのは、
結構めんどくさい。電車の中で落とすと迷惑かけるし。

テープ付箋は、自力でくっついているので落とす心配がないし、
片手でぺたっと張り直せるので、すごく楽。

で、A5版のクリアホルダーは、
メモリーシートや編み図を持ち歩く時に使います。

まぁ考え方は人それぞれだとは思いますが、
私は本の編み図であれ、自分で描いた編み図であれ、
実物は保管して、編むときはコピーを取って使います。
でもまぁ編み物本のほとんどは、開くと自立しないんで、
本をそのまま開いて編むのはあんまり実用的じゃないとは思いますけどね。
中古サイトで絶版の編み物本探していた時に、
本の中の編み図に直接印書き込んであるの見て、
「すげぇな、おい」と思いました。
必要箇所だけコピった方が扱いやすいと思いますよ、私は。
本や編み図の原本をきれいなまま保管したいかどうかは
個人の好みによるところなので、
そこは口出すところじゃないとは思いますが。

このコピった編み図なりメモリーシートなりを、
A5版のクリアホルダーに入れて、
テープ付箋で印をつけながら使うわけです。
以前は普通にA4版のクリアホルダー使っていたのですが、
場所を取りすぎるのでやめました(特に電車の中)。

今編んでいるものと、その編み図、
そして最小限の道具を、
こんな風に一つの袋にまとめて持ち歩いています。


この形だと、家でゆっくり座っている時間がない忙しい方にも、
編み物を身近に感じていただけるかもしれません。

2020年11月23日月曜日

推し!

ご無沙汰しております。

世の中があまりにも難しく、
私の内面も難しく、
文章を書けなくなっていましたが、
最近復活しました。

まぁ書きたいシリアスなことは
山ほどありますが、
今日はちょっとおちゃらけたことを。

ごく最近、強烈な「推し」ができました。
あんまりいないんですよ、私の人生で。
「推し!」と言える人が。
アイドルの追っかけができる人が
うらやましかったです、長い間。

そんな私にも、ついに手放しで
大喜びできる人ができました。

David Walliams @ BGT !!!

カタカナ表記すると
デイビッド・ウォリアムズですかね。
(ウィキペディアではデビッド・ウォリアムスですが、、、
よく聞き取れない(笑))

しばらく前にスーザン・ボイルさんが
有名になったイギリスのオーディション番組
Britain's Got Talent(BGT)というのが
あるのですが、その審査員です。
(スーザン・ボイルさんの時はいませんでしたが)

気落ちしていた時に何となく
YouTubeのBGTやアメリカ版を見始めたのですが、
世の中には本当に驚異的な才能を持った人たちが
たくさんいることにまず感動しました。
出演者の素晴らしい演技と、
感激する観衆と、
あたたかく称える審査員に、
疲れ切っていた心が癒されて高揚しました。

それで次々と動画を再生していくうちに、
「なんか、この人面白くね?」と
気になりだしたのが、デイビッド。

ぱっと見、すごく真面目そうなんですよ。
上質なスーツを端正に色っぽく着て、
髪もきっちり整えているのに、
しれっとした顔して、変なことをやってる。

メインの審査員と思われるサイモンが、
Tシャツとかセーターとか、
いわゆる「プル」系楽ちん服着て、
「ちょいワルおやじ(死語)」系セクシースタイルなのと対照的に、
あくまでも端正、あくまでも正統派。

なのに、真顔で悪ふざけ。

私乙女座なんですが、
石井ゆかりさんの乙女座評でちょっとおもしろいこと書いてありました。
曰く「乙女座には不思議な悪ノリがある」と。
だいたいにおいて乙女座はコンサバティブなんだそうですが、
にも関わらず、人がやらないような変なことを好んでやるそうな。
クリスマスのトナカイの着ぐるみ着たいとか、
乙女座男子からよく聞くそうです。

動画見てたらデイビッドしし座みたいなんですが、
なんかこの、「コンサバなのに悪ノリ」な感じ、
めっちゃ響きますね私に。

で、なんかこの「上質な服を端正に色っぽく着て、
しれっとした顔で変なことをする」人、
前にもいたような気がする、と思って
記憶の糸をたどっていたら、思い出しました、
高橋一生@政次 ですよ!!
はい、「おんな城主 直虎」の小野但馬守政次。
やってましたねぇ、一生さん、
しれっとした顔で
「足ドン」とか六左衛門の汗雑巾で拭いたりとか
(一生さんのアドリブだそうですが)。
すかした顔で小憎らしいこと言うくせに、
おとわのことを思って陰でオタオタしているのとか、
もうたまりませんでしたねぇ。

政次思い出した時点で、
あぁこれもうめっちゃ女子受けするやつじゃん!
と思いました。

でまぁデイビッドに着目して動画再生すると
すぐ気が付くと思うのですが、
デイビッドはゲイで、
サイモンにちょっかいを出している。
そういうところも政次っぽい。
ま、ウィキペディアによれば、ゲイはネタみたいで、
割と最近まで結婚していて小さいお子さんもいるようですが。

いや、世が世なら、
政次もここまではっちゃけられたのになぁ…
みたいな、不思議な感慨。
ま、一生さんはやってますけどね、変なこといつも。

一番初めに面白いと思ったのが、
Donchez Dacres さんのノリノリな曲で踊りだした時。
後ろの観客立たせて踊らせて、
自分もサイモンの前で腰を振る(しれっとした顔で)。
しまいにはズボンからシャツの裾はみ出させて
ネクタイゆるめて踊っているのを見て、
「この人そのうち昭和のサラリーマンみたいに
デコにネクタイ巻きそう…」と思いました。
と思ったら他の動画ですでにやっていたよ笑笑

デイビッドおもしろすぎ!と思っている人
たくさんいるみたいで、
まとめ動画もいっぱい出てるんだけど、
このキャラが強すぎて、
アメリカ版のGot Talentと、
イギリス版は別番組になっちゃってる気がする。
イギリス版はこれだけでお笑い番組になってる(笑)

スーザン・ボイルさんが一躍有名になった動画見てもわかるように、
サイモンってちょっとめんどくさい人。
最初のスーザンの自己紹介のところで、
「このババァどうやって黙らせてやろうかな」みたいな顔してたのが、
スーザンの歌声に愕然として表情がかわり、
うっとりと見とれる。
で評価の時に「最初からすごいと思ってた」みたいなことを
ぬけぬけと言って、スーザンからも突っ込まれる。
アメリカ版のサイモン見ても思うのだけど、
本当の芸術、本当の善、本当の人間愛みたいなものがわかるが故に、
厳しいんだろうなぁと思う。
生半可なレベルで舞台に立つのが許せないんだろうなぁと思う。
障がいや苦しみを乗り越えて素晴らしいパフォーマンスをする演者に
心から感動して泣いたり喜んだりする一方で、
自分の心の痛みに触れるような感傷的な歌には黙り込んで、
人を避けてサングラスをかけて泣いたりする(多分)。
ナイーブで、プライド高くて、口が悪くて、ハンサムで、気障で、
本当にめんどくさいタイプ(笑)。
(ちなみに昭和の少女漫画のヒロインが好きになるのも
このタイプ(笑))

このめんどくさいサイモンを、
おちょくり倒すデイビッド!!
サイモンがさっさとレッドブザー(ダメ出し)を押し、
他の審査員(美しきアリーシャとアマンダ)もダメ出ししても、
デイビッドだけはその演者のエンターテイナー性を見抜いて、
ゴールデンブザーを押して観客の喝采を受け、
「どうだサイモン、聞こえるか?この歓声が(意訳)」みたいに
勝ち誇ったりする。

デイビッドが性懲りもなく毎度毎度楽しそうにおちょくるもんだから、
やり込められて困ってるサイモンがかわいく見えてきて、
あら不思議。
美しきアリーシャとアマンダも
あり得ないくらい壊れて笑っているんだよなぁ。
スーザン・ボイルさんの時に初めて見たアマンダは、
辛辣で怖そうな美女、という印象だったのだけど。

こんなおもしろいおじさんが会社の部長席に座っていたら、
私も何度も会社辞めずに長続きしたのに…と思いました。
こんなおもしろいおじさんが上司だったら、
会社の飲み会も喜んで行きますよ、ハイ。
日本のテレビ番組にもこういう人がいれば、
テレビ見るんだけどなぁ。
BGTの会場行って、私もデイビッドコールしたいです。

ほんとここのところ気がふさいで参っていたのですが、
おもしろい人見つけて、楽しくなりました。
この番組の芸術性とか、人間愛とか、ほかの魅力的な審査員のこととか、
また改めて書いてみたいと思います。
の前に、気がふさぐ原因、日本の問題諸々について、
気がふさぐような記事、書くと思います、はい。